嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第2章:森や林の主な動物たち
第1節:森林の動物と四季の変化
12.森のはたらきもの・なまけもの
鎌形地区にあるクサアリモドキの巣。クヌギの根元に大きな巣をつくっています...全文
森の脇道を歩いていると、道にそって黒くツヤのあるアリが行列していることがあります。このアリはクサアリというアリの仲間で、雑木林などによく見られます。クサアリはアブラムシがおしりから出す甘い汁(甘露)が大好物。みんなで木に登って甘露をなめます。そして、その木の根元に巣があることも多いようで、根の周りには何百、何千ものアリが歩きまわっています。また、クサアリの巣にはいろいろな同居者がいることが知られていて、彼らはアリにエサをもらったり、アリそのものを食べたりもしています。嵐山町ではクサアリの仲間はクサアリモドキという種類が見られますが、その巣からは県内ではこれまで知られていない、めずらしい動物が数多く見つかりました。
嵐山町でクサアリモドキが確認された場所
嵐山町でクサアリモドキが確認された地点。これで全てと言うわけではなく、また時には巣を移動することもあるようなので、あくまでも目安です。
クサアリモドキの行列をよく見ると、巣とアブラムシの間を往復しているのがわかります。甘露をもらって帰ってくるアリは、おなかが大きく膨らんでいて苦しそう。ときには仲間に口移しで甘露を分けてあげます。
クサアリモドキに甘露を与えるヤノクチナガオオアブラムシの無翅虫。ストロー状の口はとても長く、体の3倍近くもあります。実際にはアリがアブラムシのまわりを土壁でおおいかくしており、大事に守られています。これは写真を撮るために土壁をはがしたところです。