嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第2章:森や林の主な動物たち
第1節:森林の動物と四季の変化
11.セミの羽化
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真っ暗のうちに地中から這い出したセミの幼虫は、葉裏や木の幹などにしっかりとつかまって羽化をはじめます。背中が割れて、白いセミが抜け出るようすはとても神秘的です。写真はヒグラシの羽化。
暑い日差しの中、ゆらめくかげろうと共にどこからともなく聞こえてくるセミの声。セミといえばわが国ではなじみの深い昆虫で、その鳴き声は夏の風物詩です。雑木林や近所のちょっとした林などでは、夏本番になるとたくさんのセミが鳴いています。セミが羽化するのはもっぱら夜間のことが多く、夏の夜の雑木林では不思議な光景が見られます。埼玉県には12種類のセミが分布していることが分かっていますが、このうち嵐山町には、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ヒグラシ、ハルゼミ、ツクツクボウシ、ミンミンゼミの6種が分布しています。初夏に出現するハルゼミを除けば、いずれの種も県内各地にふつうに見られるセミです。アブラゼミは雑木林や人家周辺などで見られ、その鳴き声は真夏の暑さをいっそう暑いものにしています。近所の林や鎮守の森で夕方鳴き出すのはヒグラシで、その鳴き声から「カナカナ」ゼミとして知られています。「オーシンツクツク、ツクイッショウ、ジー」とリズミカルに鳴くのはツクツクボウシです。
セミの抜けがらを並べてみると、種によってずいぶんと違うのがわかります。左からハルゼミ、アブラゼミ、ヒグラシ、ニイニイゼミです。