嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第2章:森や林の主な動物たち
第1節:森林の動物と四季の変化
1.雑木林にくらす動物たち
雑木林。嵐山町ではよく見かける、ごくふつうの森林です。コナラやクヌギを中心に様々な落葉広葉樹が見られ、春の芽吹きや秋の紅葉によって四季の移り変わりが目で見て取れる、そんな場所です。昔は、雑木を切って、これを薪や炭として燃料に使用していました。そのため雑木林は身近な場所に、どこにでもありました。
雑木林は野生の獣や鳥、昆虫などの動物にとっても格好のすみかです。いったいどれくらいの種類がすんでいるのか、すべてを知るのはなかなかむずかしいようですが、雑木林を好んで生活している動物はいくつも知られています。たとえばオオムラサキ。雑木林と共に生活している美しい蝶です。甲虫の王様カブトムシも、やはり雑木林が大好きです。ほかにもたくさんありますが、それはこの章の中で紹介することにしましょう。
雑木林の四季と動物たちの暮らしぶり
春、
春、雑木林では芽吹きがはじまり、もえぎ色に包まれたコナラやクヌギの枝には、それまでじっとしていた生きものたちの姿も見られるようになります。林床には野草がかれんな花を咲かせ、蜜を吸うために虫たちが訪れます。葉が広がるころには、一年でもっともにぎやかな季節をむかえます。
夏!
夏には、子供たちの大好きなカブトムシやクワガタムシが樹液に集まってきます。セミたちの鳴き声も盛んに聞かれるようになり、なつかしい情景がよみがえります。
朝早く、子供たちは近所の雑木林へクワガタムシ採りにでかけます。樹液の出ている木は何本もなく、早い者勝ちです。
アブラゼミの抜けがら。夏に見られるセミたちは、地上に出てから歩ける距離にもよりますが、大部分は枝葉などの先で羽化します。
秋...
実りの秋、雑木林の林床にはドングリがたくさん落ちています。 セミの声が止み、気がつけば秋の虫たちが盛んに鳴いています。林床にはキノコが生え、コナラやクヌギの枝からはドングリがたくさん落ちてきます。秋は動物たちにとって、これから長い冬をむかえるための大切な時期でもあります。子孫を残すもの、冬越しのためにたくさん食べるもの、それぞれいそがしいようです。
冬。
葉が落ち、寒い冬がやってきました。からっぽのヤママユガのまゆが、落ち葉の上に落ちていました。みんな、どこへいってしまったのでしょう。でも、よく見てみると、陽だまりの中を飛ぶものや、地中でじっとしているものなどが見つかります。次の春には、またにぎやかな雑木林にもどることでしょう。
冬でも動物は見られます。雑木林では、暖かい場所や土の中などをていねいに探してみれば、いつでも姿を見せてくれます。