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嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】

4.節分|村の行事,現在の行事

ヤッカガシ|写真
家のトボグチ(玄関)にヤッカガシで焼いた大豆の枝にさした鰯の頭と柊。

 節分は年取(としとり)ともいいます。この行事はヤッカガシと豆まきで構成されています。ヤッカガシは、大豆の木に鰯(いわし)の尻、頭をさし、大豆の木を燃料にして囲炉裏で焼きます。唾(つば)をかけながら、「稲の虫を焼く」とか「菜の虫を焼く」とか、「四二色の耕作の虫を焼く」などと唱え事をいい、今年の豊作を願います。それに柊(ひいらぎ)をそえてトボグチ(玄関)に二本さします。三本、または五本さす家もあります。縁側の軒下にさす家もあります。
 豆まきは囲炉裏で豆を炒り、炒った豆を一升桝に入れ年神様に供えてから、雨戸を開けて行います。「福は内、鬼は外、福は内」などといいます。鬼鎮神社の氏子である川島では「福は内、鬼は内、悪魔外、悪魔外」といい「鬼は外」とはいいません。陰暦によると節分は正月のうちやって来ます。そこで、年の変わるときに鬼や悪魔が入り込まないようにというおはらいの意味があります。座敷に撒いた豆を拾って年の数だけ食べたり、福茶にして飲んだりします。残った豆は年神様に上げておき、初雷様が鳴ると雷様に投げるのだともいわれます。

鰯の頭|写真 唾をかけ唱え事をいいながら焼かれた鰯の頭を囲炉裏ばたにさします。

大豆|写真 囲炉裏で炒られる大豆。

一升升の大豆|写真 炒った豆を入れた一升桝。

豆まき|写真1豆まき|写真2
屋内の神棚の前での豆まき。写真は太郎丸の鈴木市平さんの家。

ヤッカガシ

【春を待つ風景】

ヤッカガシ|写真
 埼玉県内では主にヤッカガシといい、漢字を当てれば「焼嗅」でヤイカガシとかヤキカガシともいいます。鰯の頭を囲炉裏などで唾を吐きかけながら焼いて、柊の枝にさし、トボグチなどにさします。漢字で「嗅」という文字があるように、葱などの臭気を出すものを囲炉裏で焼いたりもします。青森県や岩手県では節分ではなく、小正月にヤッカガシを行います。青森県では割木に煮干し、昆布、焼き豆腐を挟み、家の窓々にさしたりします。

大豆|写真 大豆、節分で最も重要なものが大豆です。大豆を炒る燃料にしても、大豆の枝を使います。当然炒った豆で豆まきをし、豆を入れた福茶を飲みます。

柊|写真 柊、節分に柊をトボグチにさすのは、その葉にトゲがあり、そのトゲが魔物が進入するのを防ぐといいます。

虫|イラスト 火であぶられて苦しんでいる虫。イラスト:田畑 修