嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
6.初午|村の行事,家の行事,現在の行事,稲作の行事,養蚕の行事
旧暦二月の最初にめぐってくる午の日は初午といい、お稲荷様(いなりさま)をお祭りします。イナリの音読みから稲作の豊穣(ほうじょう)を祈願します。また、養蚕の豊作を願う行事でもあります。稲荷様は個人の氏神となっている場合が多く、町内では一家(一族)でお祭りする稲荷様も多く見かけます。現在では月遅れの三月に行うところがほとんどですが、この日に作る変わりものには草餅やスミツカレがあります。この時期の蓬(よもぎ)はよく色が染まるといわれ、スミツカレはこの日以前には作ってはいけないともいわれていました。稲荷様には豆腐や油揚げをお供えしました。養蚕祈願には十六個さしの繭玉団子を供える家もありました。
変わり物
【春を待つ風景】
年中行事などで作る食べものを「変わり物」といいます。日常の生活では、麦が入ったご飯や煮込みうどんなどを食べていたので、それらの普段の食事とは変わったものを作ることを、「変わり物を作る」といいます。餅や赤飯やうどんや団子だけでなく、麦の入らない米だけのご飯でも、日常の食事とは異なり「変わり物」ということになります。