嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
8.オクニチ(御九日)|村の行事,現在の行事
秋祭りのオクンチとは異なりますが、嵐山町千手堂の千手院(せんじゅいん)では、十月十六日に御九日が行われます。これは仏教の法会(ほうえ)の儀式です。祭壇に餅と団子を供え参加者が住職の読経(般若心経)に唱和して儀式が進められます。その後、四人の当番が参加者に御札と餅、団子を配布し、一席設けます。かつてはこの晩、本堂で浪曲や映画が行われ、大いに盛り上がったものです。映画は、平成五年ごろまで行われていました。元来、餅と団子は当番が作ったもので、祭壇に奉納した献餅(けんぺい)(二段にして奉納する)や団子は参加者が均等に分け、御供物(おくもつ)として持ち帰りました。このように、餅や団子を供えるオクニチは、収穫祭としての要素がうかがえます。
オクニチの供え物
【収穫祭の風景】
千手院のオクニチには、祭壇に餅と団子が供えられます。
現在は餅と団子を買って供えますが、従来は当番が米の粉で作っていました。こうしてその年収穫した米で作った餅や団子を供えることで、収穫感謝を表すものととらえることができます。旧暦で千手院のオクニチが行われる時期は、まさに稲の収穫直後にあたっていました。