嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
4.古里獅子舞|村の行事,現在の行事
古里の獅子舞は、例年十月十八、十九日の兵執神社秋季例大祭に悪病払除(あくびょうはらいよけ)・五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願して奉納され、昭和三十七年には嵐山町無形民俗文化財に指定されました。この獅子舞の起源については定かでありませんが、太鼓の内側に文政五年の記録があり、少なくともこの時代には行われていたと考えることができます。
古里の獅子舞は、獅子役三人、棒使いの四人は十年(のちに八年)奉仕すると新人に交代する習わしです。獅子舞の構成は、法螺貝一人、金棒つき二人、先達一人、棒使い四人、花笠四人、仲立ち一人、獅子三人、笛吹き七から一〇人、万灯二、三〇人で、総勢約五〇人となります。
獅子舞は、大祭前に三日間の稽古が行われます。前日が足揃えで、奉納の日は祭典が始まると社務所の前庭で体型を整え、法螺貝の合図で演技が始まります。初めに棒使いが場を清め、初庭が舞われます。初庭は、四本の花笠が百花咲き乱れる花園を表し、そこで三頭の獅子が三つ巴になって笛の音にのり楽しく舞い遊ぶ情景が表れています。初庭終了後、万灯花を先頭に兵執神社の大鳥居から社殿に向かいます。二の庭は、最初に西庭で奉納し、明るい舞いから二頭の男獅子が女獅子をめぐって織り成す恋の葛藤へと展開し、やがて仲直りする様子を表現します。次に、東庭で千秋楽の神楽になります。
新稽古(しんげいこ)
【収穫祭の風景】
古里の獅子舞は、八年間獅子舞を奉納すると後身に道を譲る習わしです。新人の稽古は、三月下旬から四月上旬の十五日間に行われ、その成果は春の例大祭で披露されます。稽古の指導者は、前年までの役者が担当し、氏子総代と用番で準備を行います。稽古は夕方六時から八時まで熱心に行われます。
獅子のはなし
獅子は中国から伝わった架空(かくう)の動物で、霊獣(れいじゅう)とされています。
獅子の頭をいただき、腹部に太鼓をつけて舞う芸能が獅子舞で、嵐山町周辺では三匹獅子舞が多く見られます。三匹獅子には雌獅子が1頭、雄獅子が2頭というところが多く、これに花笠がついてササラを擦(す)る演技がつきます。獅子舞は神社の祭りに奉納され、豊作祈願や感謝、雨乞いや悪魔払いなどさまざまな祈願に基づいて行われます。
こうした民俗芸能は祭りとしての要素はもとより、娯楽的要素も含まれて人々の楽しみのひとつでした。獅子舞は地域の集団的行動で、世代や時代を超えて引き継がれていることはたいへんすばらしいことです。