嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
7.火伏せの祭り|村の行事,現在の行事
師走に入り秩父おろしが吹き始めるころになると、乾燥した日々が続き、火災の起こりやすい季節になります。
火伏せに御利益があるといわれる愛宕(あたご)信仰は、京都市北西部にそびえる愛宕神社を本社とする信仰です。
例年十二月二十四日は愛宕様の日で、嵐山町越畑では酒を一升持って愛宕神社にお参りします。参拝から帰ると、地域の忘年会が行われ、この席では消防士が上座につくようにしました。昭和五十年ころまでは、忘年会の翌日から三軒一組になって夜警が行われました。夜中の十一時と一時に鐘を鳴らしながら夜回りし、「御用心ない(なさい)」と一軒ずつ声をかけ、返事があるまで呼びかけたものでした。夜警は開始後オシメリがあるまで続ける習わしでした。
お手長様(てながさま)
【冬の祭りの風景】
火防・盗賊除けとして霊験(れいけん)あらたかである壱岐天手長男(いきのあまのたながお)神社は、「お手長様」として近郷近在で厚く信仰されています。大里・児玉を中心に「手長講」が組織され、例年九月から翌年三月にかけて各地から代参が行われます。代参に訪れた人びとは、境内裏手の杉の根元から「お砂」をいただき、家の周りにまいて火難除けを祈願します。