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嵐山町web博物誌・第4巻「嵐山町の原始・古代」

7.行司免ムラの土器群

273号住居跡出土土器|写真
273号住居跡出土土器 一軒の住居跡から形がほぼ復元できた土器が20固体余り出土しました。深鉢形土器が大部分で、浅鉢形土器と器台形土器が数点あります。

深鉢・煮る

土器による煮炊き
土器による煮炊き|写真 深鉢形土器の用途は食物の煮炊きです。表面の下半部には火にかけたときにできた変色が、内側にはお焦げが付着していたりするものも多く見られます。

中期の土器

 もしも、4000年前の嵐山町に旅することができたなら、そこかしこで大勢の縄文人に出会うことができるはずです。
 実際にこうした姿を目にすることはできませんが、人々の生きた証しは、遺跡と遺物という形で残されています。縄文時代中期は、現代とほとんど同じような気候で環境の変化もなく、人口が最も増大した時期でした。こうした社会環境の安定がもたらす、豊かな生活と心のゆとりは、丹念な装飾を施した華麗な土器に象徴的に表れています。

浅鉢・盛る

浅鉢と器台
浅鉢と器台|写真
浅鉢形土器
浅鉢形土器|写真 食物を盛りつけたり、捏ね鉢として使用することが考えられます。炉に埋設されていたものもありました。器台と組み合わせてマツリのお供え物を盛りつけることもあったかもしれません。

祈りの文様

大形の深鉢形土器(高さ63.9cm)
大形の深鉢形土器|写真 まさに豪放と呼ぶにふさわしい、中期を代表する土器です。器面に深い溝を彫り込み、粘土紐を貼り巡らし、さらに細かい刻み文をつけて、立体的でダイナミックな文様を構成します。自由奔放に見えるデザインも、個々のモチーフには何らかの意味があるようで、約束事に従って作られています。
動物意匠の文様のある土器
動物意匠の文様のある土器1|写真 中期の土器には動物に似た抽象的な意匠の文様を時々見かけます。左はサンショウウオ文とも呼ばれます。中は蛇体文、上を向いた頭は三角で大きくマムシとも考えられます。右は有孔鍔付土器と呼ばれるもので、左手が蛇に、右手は三つ指になっている抽象的な人物文様が描かれています。

いろいろな形

異形土器
異形土器|写真 楕円形をした珍しい形の土器です。長径31cm、短径12cmで、高さ23.4cmです。長径の中央に大小2個の貫通孔があり、両端には把手のはがれ落ちた痕跡があります。どんな用途があったのでしょうか。
スプーン形土製品
3_07spoon|写真 木やひょうたんなどで作られた柄杓にも似たスプーン形土製品が8点出土しました。長さ5.1〜10.6cmほどの小さなものです。
ミニチュア土器
ミニチュア土器|写真 遺跡全体から50点余りが出土しました。口径は1.6〜10.2cmほどです。顔料などを入れた特殊な器と考えられるものや、母親の土器づくりを真似た子どもの作品とも思える稚拙な出来映えのものなどがあります。