嵐山町web博物誌・第5巻「嵐山町の中世」
3.戦国時代の五輪塔
塔のスタイルは造られた時代の移りで変わってきます。
嵐山町の五輪塔
戦国時代。打ち続く争乱の中を矢弾(やだま)の飛び交う戦場(いくさば)をものともせずに、常に死と向かい合って生きた武士たち。その精神生活を支えたのは仏に帰依(きえ)し、死後の世界で極楽浄土(ごくらくじょうど)に救いをもとめることでした。戦国期には各地でたくさんの五輪塔が立てられました。
そのスタイルは時代で特徴があります。鎌倉・南北朝時代は、大形でどっしりとした安定感のある形をしています。ところが、室町時代から戦国期へと移っていくと、小形で細身の形へと変わります。五輪の各層に梵字が描かれ、彩色がほどこされているものもあります。
嵐山町では、大字大蔵の向徳寺(こうとくじ)墓地にたくさんの戦国期の五輪塔が残されています。ほかにも、大字鎌形の班渓寺(はんけいじ)など数ヵ所に五輪塔があります。
- 嵐山町の五輪塔の分布
- 嵐山町の五輪塔一覧
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図 所在地 現存数 石材 1 大字平沢 平沢寺墓地 1基(一部欠) 砂岩 2 大字鎌形 班渓寺墓地 1基 砂岩 3 大字大蔵 安養寺墓地 空風輪1 砂岩 水輪1 安山岩 4 大字大蔵 大沢知助氏宅裏 火輪1 安山岩 5 大字大蔵 向徳寺墓地 空風輪16 安山岩 火輪3 安山岩 水輪5 砂岩 地輪1 砂岩 6 大字大蔵 新藤政則氏宅地 1基 凝灰岩 7 大字古里 重輪寺墓地 水輪1 砂岩 8 大字吉田 泉蔵院跡 空風輪1 砂岩 9 大字吉田 宗心寺前墓地 空風輪1 安山岩 10 大字広野 権田喜代治氏宅 空風火輪1 安山岩 - 戦国期の五輪塔群
- 大蔵向徳寺の境内墓地にあります。一カ所に16基ほど寄せ集めてありますが、ほとんどが空・風輪です。
- 伝山吹姫墓の五輪塔
- 班渓寺の境内に所在する、五輪の小さな供養塔です。火輪・水輪は戦国時代のものですが、上部(空輪・風輪)は平成になって追加、基壇も明治時代のものを利用しています。
- 白蓮院の供養塔
- 深谷市白蓮寺にある岡部藩主阿部信勝の母白蓮院を供養した五輪塔は、戦国末期の形で、石材は角閃石安山岩です。