嵐山町web博物誌・第5巻「嵐山町の中世」
中世の祈り
戦(いくさ)が続き、世の中が乱れ始めました。人々は、救いようのない気持ちのはけ口を、あこがれの来世へと向け、極楽浄土(ごくらくじょうど)のイメージを作り上げていきます。 それは、時代を象徴する祈りの世界でした。
1.末法思想(まっぽうしそう)
日本全国にひろがった恐怖の嵐。
この世の終わりが近づいている!
平安時代にもたらされた仏教のこの考えは、たちまち日本全国に恐怖の嵐を巻き起こしました。釈迦の死後二千年で世界は仏の道を見失った末法の時代となり、やがて破滅に向うというのです。末法には平安時代の終わり頃、1052年に突入するとされていました。
そして、これを証明するかのように、疫病(えきびょう)が蔓延(まんえん)し、天変地異や飢饉(ききん)が続きました。また、源氏・平氏の二大勢力の元となる小規模な武士団が各地に台頭して、互いに争いを起こすようになっていました。
人々の不安がますますつのる中、時代は混乱の中世へと移っていきます。