ページの先頭

嵐山町web博物誌・第5巻「嵐山町の中世」

中世の祈り

戦(いくさ)が続き、世の中が乱れ始めました。人々は、救いようのない気持ちのはけ口を、あこがれの来世へと向け、極楽浄土(ごくらくじょうど)のイメージを作り上げていきます。 それは、時代を象徴する祈りの世界でした。

1.末法思想(まっぽうしそう)

日本全国にひろがった恐怖の嵐。

この世の終わりが近づいている!

 平安時代にもたらされた仏教のこの考えは、たちまち日本全国に恐怖の嵐を巻き起こしました。釈迦の死後二千年で世界は仏の道を見失った末法の時代となり、やがて破滅に向うというのです。末法には平安時代の終わり頃、1052年に突入するとされていました。
 そして、これを証明するかのように、疫病(えきびょう)が蔓延(まんえん)し、天変地異や飢饉(ききん)が続きました。また、源氏・平氏の二大勢力の元となる小規模な武士団が各地に台頭して、互いに争いを起こすようになっていました。
 人々の不安がますますつのる中、時代は混乱の中世へと移っていきます。

阿弥陀如来来迎/国宝
阿弥陀二十五菩薩来迎図|写真
『阿弥陀二十五菩薩来迎図』
(京都市東山区知恩院蔵・京都国立博物館提供)
阿弥陀如来を中心に25人の菩薩が、天空から舞い降りるさまが描かれています。右下には念仏を唱えながら往生を待ち望む僧の姿がみえます。深く鎮まる山里と菩薩が乗る雲の躍動感に溢れる動きが対照的で、鎌倉時代を代表する仏教画です。
阿弥陀如来来迎板碑/埼玉県指定文化財
阿弥陀如来来迎板碑|写真 (東松山市光福寺蔵・東松山市教育委員会提供)
阿弥陀如来、勢至菩薩、観音菩薩が天界から降り立つときの姿を描いた板碑です。