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嵐山町web博物誌・第4巻「嵐山町の原始・古代」

6.縄文の道具・石器

石器組成の変遷グラフ 石器組成の変遷グラフ 前期から中期にかけて土掘り具や植物食品加工具の占める割合がひときわ大きくなっているのが分かります。

石の道具たち

 電気や動力に頼らない、手だけで扱う道具というと、何が思い浮かぶでしょう。畑仕事の鍬(くわ)や鎌。金槌、鑿(のみ)、錐(きり)などの大工道具。台所の包丁やカッターナイフは最も身近でしょう。
 こうした道具は、何かを作ったり、加工したりするときの基本の作業に関わるものです。そしてこれらはみな金属製ですが、ほとんどは、その原型が縄文時代にすでにでき上がっていました。
 縄文人たちは、最後まで金属の道具を使うことはありませんでした。そのかわり、技を駆使して、金属にも劣らない石の道具を生み出しました。
 遺跡から出土する石器を調べると、時期や地域によって組み合わせと数量に違いがあることがわかります。生活に直結する道具ですから、石器の種類の違いは、縄文人の暮らしぶりの違いをそのまま投影しているのです。

石鏃(行司免遺跡出土)
石鏃|写真 石材は長野県和田峠産の黒曜石が多く、地元産のチャートも利用しています。
石錐(せきすい)(行司免遺跡出土)
石錐|写真 毛皮や木などに穴をあけるのに用いた錐です。
石匙(せっぴ)・削器(山根遺跡出土)
石匙・削器|写真 肉などを切るのに適した鋭い刃先をもつナイフです。
有孔石製品(行司免遺跡出土)
有孔石製品|写真 14号住居跡出土、5×3cm、孔が2個あいています。軽石製です。
石錘(せきすい)(行司免遺跡出土)
金平遺跡出土土器|写真 魚を採る網の錘です。
10cm前後の自然石に網の紐をしばる溝が彫られています。魚網の錘には、石錘と土錘があります。
多孔石・石皿・磨石・凹石(山根遺跡・行司免遺跡出土)
多孔石|写真多孔石
石皿|写真石皿
磨石・凹石|写真磨石・凹石
木の実を製粉するための道具類です。多孔石は堅い木の実の殻を割る、石皿は石臼あるいは擂鉢、凹石や磨石はすりこぎやハンマーのように用います。
打製石斧(行司免遺跡出土)
打製石斧|写真 斧ではなく土を掘るための鍬や鋤、スコップのような用途と考えられています。川原の礫を素材として簡単に作れます。行司免遺跡では2000点以上の出土がありました。
横形石匙(行司免遺跡出土)
横形石匙|写真 形から匙という名前で呼びますが、突起の部分に紐を掛ければ携帯用のナイフ、木の柄を付ければ鎌のような道具として使えるものです。
磨製石斧と擦切磨製石斧(行司免遺跡出土)
磨製石斧と擦切磨製石斧|写真
木を伐ったり削ったりする斧や鑿のような道具です。
玦状耳飾(山根遺跡出土)
玦状耳飾|写真
蛇紋岩製大珠(行司免遺跡出土)
蛇紋岩製大珠|写真
石製腕飾(六丁遺跡出土)
石製腕飾|写真
石棒(行司免遺跡出土)
石棒|写真 各種の装身具やマツリに使われる石棒なども石で作られます。とくに装身具には糸魚川のヒスイなどのように遠隔地からもたらされる希少な石を用いるものもあります。