嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第5章:人家周辺の主な動物たち
第4節:動物の利用
3.身近な食材としての動物たち
蒸されたイナゴは赤くなります。ゴミやフンなどがこびりついているので、ここで良く洗わないといけません。
谷津田のような場所ではイナゴがたくさん採れます。目の前を飛びはねるイナゴを、一匹づつ採ってゆくのは大変な作業ですが、やってみるとけっこう面白いものです。
後脚は人の好みにもよりますが、口の中に刺さることもあるので取ってあげたほうが安心...全文
イナゴはわが国でもっともポピュラーな食用昆虫ですが、最近は意外と食べる機会がないようです。イナゴの佃煮をつくって町内の50名の方々に試食をお願いしたところ、3分の1の人には「見た目がいやだ」と言って断られました。ところが食べた人は、ほぼ全員が「おいしい」と答えました。「食わず嫌い」とはよく言ったものです。
昆虫食文化は世界的に広く見られるもので、日本でも数々の食用昆虫が知られています。けっして味がまずいというわけではなく、鉄砲虫(カミキリムシの幼虫)などは一度食べたら病みつきになるほどです。また信州方面のスーパーでは、蜂の子が売られていたりもします。昆虫以外にも身近な食材となる小動物は多く、川魚やサワガニなどは酒のつまみに今でも食べるようです。
サワガニのから揚げ。採ってきたサワガニはよく洗ってから水を切り、生きたまま揚げ油に入れて調理します。ちょっとかわいそうな気もしますが、からっと揚がった香ばしいサワガニは、いちど食べるとやめられないくらいおいしいです。ちなみに、食べるときには少し塩を振ることが多いようです。
よく干されたイナゴは、からからに乾きます。風通しの良い場所で干すのがコツです。
イナゴの佃煮の作り方
●材料:イナゴ、油、しょうゆ、みりん、日本酒(分量は材料に合わせ、自分で工夫してください)
採ってきたイナゴはまず、袋の中で2日ほどフンを出させ、その後布袋のまま10分程度蒸します。これをザルに移してよく水洗いし、水気を切って平ザルに広げて天日干しにします。3日間くらい干し、よく乾くと黄褐色になるので、ハネや後脚を取り除きます。鍋に食用油をひき、中火で炒め、その後日本酒としょうゆで煮込み、汁気がなくなったところでみりんを加えてさらに炒めると出来上がりです。