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嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」

第3節:海が広がった時代
COLUMN

ジルコンによる放射年代測定


ジルコンのエッチング写真
ジルコンのエッチング写真

フィッショントラック法

岩石の年代を決定する絶対年代測定法の原理は、放射性同位体の半減期が一定であることを応用したものです。この絶対年代測定法の一つにフィッショントラック法があります。

このフィッショントラック法によく用いられるジルコンはジルコニウム(Zr)という元素を含むケイ酸塩鉱物です。

ジルコンに含まれるウラン238は、自発核分裂によって鉱物中に飛跡(トラック)を残します。この性質を利用して年代測定をする方法を「フィッショントラック法」と呼ぶのです。

吉田凝灰岩層のジルコンによる年代測定

嵐山町の岩石には肉眼で分かるような大きなジルコンは見あたりませんが、顕微鏡サイズのジルコンは凝灰岩中に多数見つかります。このジルコンをつかって凝灰岩の絶対年代を測定しました。

ジルコンを研磨して、薬品を使い表面を腐食(エッチング)させるとトラックが見えてきます(上の写真を参照)。表面に見られる細い線がトラックです。このトラックの密度を求め、さらに元々のウラン量を測定して、その割合から年代値を算出するのです。

第3節:海が広がった時代