嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第5章:人家周辺の主な動物たち
第1節:庭の生きものの世界
3.庭で見られる動物たち
人家の周辺や庭先には、昔からなじみのある生きものたちがたくさん見られます。庭先で「さつま床」を作っている家では、腐葉土の中にカブトムシやコガネムシの幼虫がたくさんいます。また、花が好きで鉢植えをたくさん置いてある家であれば、その鉢の下にはダンゴムシなどをはじめとした生きものが多く、花や果実に集まる動物たちとはまた違ったものを目にするでしょう。
庭先でサツマイモの苗をつくる「さつま床」。たっぷり敷きつめた落ち葉の中には、カブトムシの幼虫がたくさん見られます。幼虫は腐葉土を食べて育ち、そのまま越冬して翌年に成虫となり、近くの雑木林へ旅たってゆきます。
ジグモの巣は袋状で、軒下など地面と接した壁面についています。以前は子供たちの間で、この袋を破れないようにそっと抜き取る遊びがありました。また、捕まえると自分で腹部を食い破ってしまうため地元では「ハラキリグモ」とも呼ばれ、「はらきりぐーも、はらをきれ」といったわらべ歌もあったようです。
トウキョウヒメハンミョウの県内における分布(2002年)
地面や葉の上をすばやく飛びまわるトウキョウヒメハンミョウは...全文
庭に見られる生きものとして有名なのは「にらむし」です。ハンミョウという甲虫の仲間の幼虫で、昔の子供たちは「にらむし釣り」をして遊んだことも多かったようです。最近は、にらむしの好む“土がむき出しの広い庭”のある家はだいぶ少なくなってきたようで、その姿もあまり見られなくなりました。
庭に植えてある植物の葉にも、いろいろな虫がつきます。マユミにつくキバラヘリカメムシや、クチナシの葉を丸坊主にしてしまうオオスカシバの幼虫などは特によく目につきます。サザンカやツバキの生垣にはチャドクガというドクガの一種がつき、この毛虫をあやまって触ると、発しんが出てかゆくなります。
アオマツムシは帰化昆虫として有名なコオロギです。明治時代に中国南部から持ち込まれたと考えられています。最初は東京で発見されました。その後分布域を広げ、本州から九州までの温暖な地域にすみついています。埼玉県では高い山を除くほぼ全域に分布しています。嵐山町でも、夏のお盆のころから10月にかけて「リー・リー・リー」というかんだかい鳴き声を、ふつうに聞くことができます。鳴くのはオスだけです。成虫のからだは緑色をしていて、木の葉の色に似ています。
オスとメスはよく似ていますが、オスにはハネに茶色の部分がありますので、かんたんに見分けることができます。
- 道を歩いている黒いイモムシ。体の最後尾に長い尾のようなものがあり、7つの大きな目玉模様があるのは、セスジスズメというガの幼虫です。ヤブカラシやホウセンカ、サトイモなどを食べます。またヤブカラシを食べるイモムシで、3つの大小の目玉模様を持つ幼虫はコスズメという別の種です。