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嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」

第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち

第3節 田んぼ、池沼の動物

5.稲につく昆虫たち

イナゴの幼虫の写真
イナゴの幼虫。成虫は活発に飛ぶので見つけやすいですが、幼虫はイネ科の草むらの葉にとまってじっとしていることが多いです。
 昔から田んぼは生きものたちの宝庫で、水辺で生活するものが数多く見られました。中にはイネを食べるものもいますが、イナゴはその代表と言えるでしょう。「稲子」という名前からしても、いかに田んぼとの関わりが強く、また人と関わりを持ってきたかがうかがえます。嵐山町辺りでごくふつうに見られるのは「コバネイナゴ」という種で、刈りいれの頃になると各地の田んぼでふつうに見られます。食料の乏しい時代には害虫駆除と栄養補給をかねて、イナゴをたくさん捕まえてつくだ煮などにして食べることもありましたが、最近ではほとんどこうした習慣はなくなってしまいました。

田んぼの写真
イナゴが多く見られる田んぼ。嵐山町ではまだ各地でイナゴが見られますが、大害をもたらしたという話は聞きません。

 
  • イナゴの写真
    イナゴはイネの害虫として知られていますが、最近では少なくなっています。一般には、農薬がイナゴを減らした原因と言われていますが...全文
  • コバネイナゴの写真
    埼玉県にはコバネイナゴとハネナガイナゴの2種のイナゴが分布しています。このうちよく見かけるイナゴはコバネイナゴ...全文
 

イチモンジセセリの写真イチモンジセセリは庭の花などにも集まるので一度は見たことがあるでしょう...全文  昔から稲作が盛んだった日本では、田んぼに害をなし人々の生活をおびやかす動物のことは、たいへん良く調べられてきました。稲にはイナゴのほかにもたくさんの昆虫がつきますが、特に有名なのはニカメイチュウ(二化螟虫、ニカメイガというガの幼虫)です。いまでこそ少なくなりましたが、嵐山町でも昔は多かったようで、戦後まもないころの菅谷村の広報誌には螟虫防除の記事がいくつもみられます。ウンカ類やイネ科を好むカメムシ類も重要な害虫として知られ、県下でも「カメムシ注意報」といったものが発令されたほどです。

 
  • イチモンジセセリの幼虫の写真
    地元では「稲のツトムシ」とか単に「ツトムシ」と呼ばれるイチモンジセセリの幼虫...全文
  • ニカメイガの写真
    イネの害虫の代名詞のようなニカメイガですが、2002年の埼玉県内の越冬調査では...全文
  • マメハンミョウの写真
    マメハンミョウは田んぼのまわりに生息し、幼虫はイナゴなどバッタ類の卵かいに...全文
 

田んぼでいきもの探しをする写真昔ながらの田んぼは動物たちの宝庫です。無農薬栽培の田んぼでいきもの探しをしてみました。思ったよりたくさんの種類がいるのにみんなびっくりです(協力:嵐山町の今を記録する会)。

 
  • ツマグロヨコバイの写真
    稲の害虫として知られるツマグロヨコバイ。全身が鮮緑色で、オスのハネの先端が黒いことからこの名前が...全文
  • セジロウンカの写真
    セジロウンカは「夏ウンカ」とも呼ばれ、背面の白い縦帯が特徴的なウンカです。日本では、越冬できませんが...全文
 

イネミズゾウムシの写真イネミズゾウムシといえば...全文  また田んぼには害虫ばかりでなく、害虫を食べたり寄生したりする益虫や、稲に関わりなく、ただ田んぼにいるだけの動物もたくさん見られます。最近では、田んぼを農地としてだけでなく、こうした生きものが暮らす生活の場としても注目され、田んぼの環境を保全するのための活動が各地で進められています。

田んぼの写真
都幾川ぞいに広がるひらけた田んぼ。こうした場所ではまわりの環境も同じようで変化が少なく、そのため動物の種類も谷津田などに比べて少ないようです。逆に一つの種類の個体数は多く、害虫も大発生してしまうので、殺虫剤での防除にたよらざるをえません。