嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち
第3節 田んぼ、池沼の動物
8.休耕田、アシ原の動物
カヤネズミはその名のとおり、チガヤやススキなどの長い葉を巧みに編み込んで、直径10センチメートルほどの鳥の巣に似た巣を作り...全文
嵐山町内でのカヤネズミの確認地点
谷津にある休耕田には、チガヤなどの植物が一面に生えている場所があります。そうした所はカヤネズミの絶好のすみかです。カヤネズミは草の上に葉をつづった丸い巣を作り、草の茎や葉の上でも尾をまきつけて上手に上り下りします。
また休耕田にはノウサギも見られます。「ウサギ追いしかの山・・・」と「故郷」という唱歌にうたわれているように、ノウサギは人家付近の野山の代表的な動物です。ですが、最近の雑木林は手入れが悪く、やぶが生い茂ってうす暗くノウサギが住むのに適していません。かわりに最近増えた谷津の休耕田が格好のすみかになっているのです。ウサギというと白い飼いウサギを思い浮かべる人も少なくないでしょうが、飼いウサギはヨーロッパ産のアナウサギを人が品種改良したもので、ノウサギとはまったく別の種類です。嵐山町に住んでいるノウサギは冬になっても白くなりませんし、地面にあなを掘ることもしません。
ノウサギは夜行性で昼間は草むらで寝ています。体色もまわりにすっかり溶け込み、人やイヌが近づいてもじっと隠れています。ですが、あまりに近づくとそれこそ“脱兎(だっと)”のごとく逃げ出します。この保護色と逃げ足の早さで天敵から身を守っているのです。