3.大正月の食事|家の行事
三が日の食事はふだんとは違う特別なものでした。この期間だけは年男である男性が朝・昼・晩と食事の支度をします。つくったものは、朝・晩に神様にも供えました。三度とも供えるという家もあります。
朝は、大根・人参・牛蒡(ごぼう)・里芋をしょう油で煮たものに焼いた餅を入れた雑煮を食べました。神様へ供えるのは餅を入れる前の煮物です。昼はとくにどんなものでも構わず、晩は米の飯を食べました。ただし、三が日の間、餅は食べずにうどんを食べる家もあります。また、山芋を食べると中気にならないともいわれました。
このほか、きんぴらごぼうや黒豆・昆布巻き・田作(ごまめ)などを年内に用意しておき、年始のあいさつに来る客に出しました。
雑煮を作るときの火を最初に焚き付けるときには、火打ち石で切り火をかけ、豆の木で焚きました。雑煮にする煮物の用意は年内に済ませておきます。
朝は雑煮という家が多いようですが、朝は蕎麦切りという家や、朝はうどんという家もあり、家例によってずいぶんと異なるようです。
朝と晩に食べるものは、たいてい決まっていましたが、昼は特に決まってはいないという家が多いようです。特に決められてはいませんが、うどんをよく食べました。残り物を食べたともいいます。
三が日の間に食べてはいけないとされる食べ物も家によって決まっていました。里芋を食べてはいけないという家もあります。
夜は白いご飯を食べるという家がほとんどでした。今とは異なり、ふだんのご飯は麦を混ぜたものだったので、白米だけのご飯は御馳走だったのです。
神様に供えたものは「4日の風に吹かせるな」と3日の夕方には全部下げます。また、お炊き上げといい、3日か4日には年男が米を炊いてメンパに盛って年神様にあげました。「これで正月の食いもんは終わり」という意味でもありました。