- 第1章:正月
- 第1節:年神を迎える 〜正月の準備〜
8.大晦日|家の行事
年男である一家の主人が幣束で家中を祓います。写真は菅谷の木村平六さんの家。
大晦日には夕飯の前にミソカッパライ(晦日払い)を行いました。風呂に入って体を清めた年男(としおとこ)が、「今年一年ありがとうございました」「来年がいい年でありますように」と言いながら幣束で家中を祓います。この後、幣束は近くの三本辻か門口に立てました。
夕飯はけんちん汁にご飯でした。晦日蕎麦(みそかそば)やうどんを食べる家もありました。
また、子供がやけどをしないように「荒神様に供える」と言い、囲炉裏におにぎりや団子をくべました。これをヤキオサメと言いました。
この日ばかりは子供も夜更かしを許され、除夜(じょや)の鐘で知らされる新年を家族みんなで待ちました。
古くは一日の境は夜の始まる時刻にあると考えられていたので、大晦日の晩の食事が年越しの膳でした。その食事をとることによって年をひとつ重ねるとされたので、ふだんとは違う特別な食物を食べたのです。年越し蕎麦もそのひとつ。
年越しの特別な食物は、蕎麦ではなく、けんちん汁と白米のご飯という家も多かったようです。とろろ汁を飲んだという家もあります。
大晦日には、高盛りにした白米のご飯に箸を1本立てたものを仏壇のホトケ様に供えました。そして正月三が日の間は扉も閉じたままで、新しく供えることはしません。三が日はオミタマ様を祀っているからだという説明もあります。
「子供がやけどをしないように」と、荒神様への供え物として囲炉裏におにぎりをくべます。これをヤキオサメといいます。
ミソカッパライを済ませ、三本辻に立てられた幣束。写真は菅谷の木村武さん。