嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
3.年神棚(としがみだな)|家の行事
家中の神様に松飾りを供える日、年神棚も作りました。年神様を迎えるために毎年新しく作り替えます。堅木(かたぎ=楢〈なら〉・小楢・栗など)の割り板を並べて藁縄(あらなわ)で編んだ棚を、新しい年の恵方(あきのかた)に向けて藁縄でザシキの天井から吊るしました。この上に、巻藁(まきわら)に弊束(へいそく)を立てた年神様を祀ります。家によっては年神様といっしょに山の神やオソウゼン様が祀られます。
正月様とも呼ばれる年神様は、稲の神とも作の神とも考えられていました。この神様は正月とともに恵方からやって来て、初卯(う)の日卯の刻に昇天する、あるいは、正月とともに出雲(いづも)から来て出雲に帰るなどと考えられていました。卯の日に帰るので卯の日卯の刻にはお炊き上げと称して白米を炊きました。
年神棚の作り方
- 1
- 堅木とよばれる楢や栗など必要な材料を山で取っている様子。この一連の写真は深沢長男さんに再現してもらったときのものです。
- 2
- 出来上がりの棚の対角線になるように篠竹を十文字に置き、その上に栗の木を半分に割ったものを10本並べます。これを藁縄で簾のように編み、四隅に縄を結び、吊せるようにします。
- 3
- 棚が完成。
- 4
- 巻藁を作る様子。秋に収穫したばかりの新しい稲藁。束にした藁を数本の藁で巻きつけます。
- 5
- 両端を押し切りで切り落として形を整えます。
- 6
- ―篠竹の足を片端に2本、もう片端には1本を付け、幣束を刺すと完成。これが神様の依り代となります。2つあるうちの1つが年神様で、もう1つはオソウゼン様です。