嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」
第2節:グリーンタフ時代の嵐山町
COLUMN
グリーンタフの変質鉱物
噴火直後の火山灰や軽石は灰色ですが、グリーンタフはその後の変質作用により特有の変質鉱物が含まれ、緑色になります。
嵐山町のグリーンタフに含まれる沸石(ふっせき)や粘土鉱物などの変質鉱物を見ていきましょう。
沸石(ふっせき=ゼオライト)
沸石は、結晶中にとても小さい穴をもつケイ酸塩鉱物で、内部に水が含まれているため加熱すると沸騰しているように見えることから沸石という名前がつけられています。
小さい穴を利用して分子ふるいや吸着剤、イオン交換剤に利用されており、工業的にも重要な鉱物になっています。
2011年3月11日の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故では、放射性物質の吸着剤としてゼオライトが用いられました。
嵐山町にはモルデン沸石、輝沸石(きふっせき)などが見られます。
- モルデン沸石
- とても細い針状結晶の集合体で顕微鏡サイズのものが大半です。
- 輝沸石
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大きな結晶では透明な板が何枚も重なったように見え、光を反射してキラキラ光るので、この名前がついています。
嵐山町に見られる輝沸石は顕微鏡で確認できる程度の大きさの小さい沸石です。
粘土鉱物
岩石をつくっている鉱物やマグマが急に冷えてできた火山ガラスなどは長い年月風雨にさらされたり、マグマからの熱水などの影響を受けると、粘土鉱物という鉱物に変化します。
嵐山町のグリーンタフは主に熱水の影響を受けて、スメクタイトや緑泥石、混合層粘土鉱物などができています。
- スメクタイト
- 100℃以下のあまり温度が高くない熱水にさらされると、凝灰岩中の火山ガラスはスメクタイトに変化します。
- 混合層粘土鉱物
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熱水の温度が100℃〜200℃くらいになると、スメクタイトは混合層粘土鉱物という粘土に変化していきます。
混合層粘土鉱物とはスメクタイトと雲母、あるいはスメクタイトと緑泥石が混ざった中間的な粘土鉱物です。
- 緑泥石
- 熱水の温度が200℃を超えるようになると、混合層粘土鉱物の中にまだ残っていたスメクタイトも緑泥石や雲母に変化していきます。
- 緑廉石
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熱水の温度が300℃を超えるようになると、岩石中に緑廉石(りょくれんせき)ができはじめます。
嵐山町では七郷層のHA凝灰岩という岩石に緑廉石が生じています。
第2節:グリーンタフ時代の嵐山町