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嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」

第2節:グリーンタフ時代の嵐山町

1.グリーンタフ活動のはじまり

七郷層下部の崖|写真
七郷層下部の崖

はじまりは陸上火山

滑川と市野川に挟まれた嵐山町の花見台から滑川町の水房(みずふさ)にかけて、七郷層(ななさとそう)という地層が広がっています。
この七郷層の下半分は陸上に堆積した火砕流堆積物をはさんでおり、グリーンタフが陸上の火山活動からはじまったことを物語っています。

七郷層の分布
七郷層の分布|地図

火砕流でできた七郷層下半部

七郷層は全体に火山灰質であり、それが変質を受けているため地層全体が緑色をしています。
次の写真は七郷層の火山灰質砂岩層で、変質を受けて淡緑色になっており、砂岩には弱い成層構造が見られます。
七郷層の火山灰質の砂岩層|写真

砂岩層の拡大写真
割った砂岩|写真 成層構造が見られる七郷層の砂岩層をハンマーで割ってみると、写真のような黒い線(ラミナ)が見られます。
黒っぽい部分には木材の破片や葉のかけらなどの炭質物が多く含まれています。
七郷層下半部の礫岩
七郷層下半部の礫岩|写真 七郷層下半部の礫岩です。礫は大きいもので直径20cm程ですが、大半は5〜10cm程度の円礫です。
礫種はチャートや粘板岩が多いのですが、大きな礫は硬い石英斑岩(せきえい はんがん)が目立ちます。

地質年表
地質年表
また、七郷層下半部は主に礫岩(れきがん)で、中に火山灰層も挟まれています。この火山灰層には軽石が含まれ、その粒は押しつぶされ扁平になっています。

こうした火山灰層は溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)と呼ばれています。
陸上の火山が火砕流を噴出した時、まだ熱い火山灰層が自分の熱と重さでつぶされたと考えられています。礫岩層は川で堆積した地層と考えられます。

溶結凝灰岩|拡大写真 右の写真は、礫岩に挟まれている溶結凝灰岩の拡大写真です。緑色の軽石が扁平になっていることがわかります。

年代を調べると、約1900万年前で新第三紀中新世の前半になります。
この溶結凝灰岩は堆積した後の熱水変質作用をうけて緑色になっています。

海に転じた七郷層上部

一方、七郷層の上半部はおもに泥岩でできています。
この泥岩からは、次ページで紹介する様な海の貝化石が見つかっており、七郷層が堆積した時代の後半からは、この地域が陸から海へ急速に転じたと推測されます。

第2節:グリーンタフ時代の嵐山町