嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
8.盆棚|家の行事
お盆の間、ご先祖様がいるところが盆棚で、座敷の縁側に隣接したところへ作ります。組み立て式の盆棚が多く使われました。上の段は、成人してから亡くなったご先祖の霊、下の段は子供の霊といわれ精霊様(しょうりょうさま)とも言います。最近は、かわいそうだといって精霊様も上にあげることがあります。
現在は作られることはないようですが、新盆のときには通常の盆棚の他に、新しい仏様のために別に盆棚が作られました。茶の間の隅に作ることが多く、四角い切溜めの四隅を杉の葉で飾り、中には、芋の葉、蓮の葉を入れて、そこに盆の間中、供え物をしておきます。現在は作られることはないようです。
盆棚づくり
留守居仏
盆棚が出来ると、仏壇の位牌をすべて盆棚に移すので、仏壇がからになってしまいますが、留守居仏(るすいぼとけ)として観音さまなどを残しておくことがありました。お留守居様ともいわれ、位牌のなかで一番古く、字のわからないものを残しておくとか、新宅(しんたく)では分家した人が先祖になるので、それより古い先祖に留守居をしてもらうことも。また、まったく空のままという家もあります。
扉を閉めるか否かは家によって違い、盆棚に線香を上げるときに一緒に線香を上げるくらいであったというところもあれば、ご飯・お茶をあげるという家もあります。
みそはぎと水ぶけ茶碗
【盆前の風景】
盆棚の前に、水を入れたどんぶりとみそはぎを束ねたものが置かれています。これは、毎朝、お参りをするときにみそはぎの束ねたものを水につけ、水をかける動作をして、穢れを祓う「禊」のために行われます。
「みそはぎ」という音からは、「禊」という言葉が連想されますが、漢字では「禊萩」と書き、水掛草とか精霊花、盆花ともよばれます。また、水ブケ茶碗の「水ブケ」とは、「水向け」の訛ったもので、水をかけることをさしています。