ページの先頭

嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】

7.盆準備|家の行事

チガヤ|写真
チガヤ。チガヤは6月30日に夏の疫病除けとして行われる「チガヤの輪くぐり」のチガヤの輪の材料にもなるものです。葉の形が刀に似ているところから悪いものを切裂き追い払う力があると考えられています。

 ご先祖様を迎えるために、八月十三日の午前中から準備が始まります。
 山から盆花(ぼんばな)と呼ばれる萩(はぎ)・女郎花(おみなえし)・桔梗(ききょう)の他、竹・みそはぎなどを採ってきます。
 萩や女郎花の枝や麻幹(おがら)でご先祖様が使う箸(はし)を新しく作り、茄子で馬を作ります。また、蓮(はす)の葉や里芋の葉を敷いた上に水ぶけ茶碗(水のはいった器)を置いて、毎朝水をかけて清めるように、みそはぎを束ねておきます。これらは盆棚に供えるものです。また、盆棚に使うチガヤの縄もないます。
 新盆(あらぼん)の家は、八月一日から縁側の先に大きい提灯(ちょうちん)を飾り、毎晩灯(あかり)をともしてご先祖様を迎える準備をします。

チガヤで縄をなう|写真 採ってきたチガヤは、何日か天日で干して縄にないます。

チガヤの縄|写真 出来上がったチガヤの縄。

盆花

【盆前の風景】

ホオズキ|写真
 嵐山町では萩・女郎花・桔梗などが盆花といわれていますが、地域によってその花の種類は様々で、秋の草花から数種を選ぶというところもあります。
 盆花という別名を持つ花は多く、弟切草(おとぎりそう)・百日紅(さるすべり)・千日草(せんにちそう)・曼珠沙華(まんじゅしゃげ)・禊萩(みそはぎ)などがあります。
 また、十三日に盆棚を作る前に盆花を山に取りに行くのは、正月に松を取りに行くのと似ており、盆花や松は、祖霊や神の依り代として考えられていたと思われます。

萩|写真 萩。

女郎花|写真 女郎花。

桔梗|写真 桔梗。