嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
COLUMN
4.コラム:県内の七夕
七夕とネブタ
小川町では竹飾りの他に、ネブタ(合歓木)をいっしょに門口に飾り、朝はネブタで目をこすって顔を洗うと夏の暑い日に眠気が覚めると言われていました。翌朝、竹飾りを川へ流しますが、「ネブタは流れろ心は止まれ」といって流したそうです。
吉田町(現 秩父市)では子供たちが七夕の朝、早起きをしてネブタの葉を取り、近くの川に行って、ネブタの葉を川の水に浸けて顔を洗い、呪文を言いながら目の上をなでるそうです。「メエ(目)ノショウ(性)ノイイヨウニ」といって、目の悪いものや目の病気などをネブタに乗せて流してしまうということです。
七夕馬のはなし
七夕馬は関東から東北地方にかけて各地にみられ、材料には藁や麦カラ、真菰(まこも)(カツモ)・チガヤが使われます。牛と馬を一匹ずつ作ったり、雌雄一対で作ったりしますが、盆に胡瓜や茄子で作る迎え馬と同様の物で、「ご先祖様は七夕馬に乗ってやってくる」(上福岡市〈現 ふじみ野市〉)といわれている地方もあり、盆行事の一環としての七夕の性格をよく表しています。
七夕と豆
町内では聞くことが出来ませんでしたが、埼玉県内では、七夕の日に豆に関する伝承が伝えられている地域も多くあります。
例えば、七夕馬は七夕が終わった後、川に流したり屋根に投げるというところが多いのですが、翌年馬を作るまでは、味噌部屋に雄雌両方の七夕馬をしっかり縛って置いておくと、味噌の味がよくなるといわれているところ(春日部市)や、七日に豆(ササゲ)畑にはいると七夕の馬がツルにひっかっかると言われ、畑に入ることを禁じているところ(志木市)、初豆を馬にあげなくてはと言って初物のササゲを供えるところ(和光市)など、七夕馬と関連して豆が登場することがあります。
また、ササゲ畑で二人がお見合いをするといわれているところ(新座市)や、七夕様が豆畑で会うから、この日は豆畑に入らないというところ(志木市)もあります。