嵐山町web博物誌・第7巻【祭りと年中行事編】
3.サナブリ|家の行事,稲作の行事
一般にサナブリの「サ」は田の神と考えられ、サナブリはサ(田の神)が昇る「サノボリ」ということといわれます。すなわちこの行事は、田植えを終えた後、田の神様を送る行事と考えられます。嵐山町でも田植えが終る日にサナブリを行います。田植えの最後には、その家の主人が三株植え、残った苗をオカマサマに添えます。そして、田植えに手伝いに来た人たちを招待して、御馳走しました。また、サナブリは別名マンガアライともいわれます。昔は田植えの時に使ったマンガという農具を洗い、主屋のダイドコロに置いて御神酒を上げ、田植えが終ったお祝をしました。
田の神
【農繁期のはじまる風景】
田の神は、田の豊作をもたらす神です。
山の神は、春稲作が始まる頃に里へ下りてきて田の神となり、稲の生育を守り、秋に収穫が終ると山へ帰り、山の神になるという、山の神と田の神が交代するという信仰が全国に見られます。
埼玉県内でははっきりとした田の神は存在しませんが、オカマサマは代表的な農神であり、サナブリで苗を添えるのは、田の神が家の中のオカマサマに帰って来るという信仰を表すともいわれます。
■椋(むく)神社の御田植神事(おたうえしんじ)