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嵐山町web博物誌・第5巻「嵐山町の中世」

COLUMN

3.コラム:謎の丹波焼壷

出土するはずのない陶器

山根遺跡出土の丹波焼壷の破片
山根遺跡出土の丹波焼壷の破片|写真
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 山根遺跡から、丹波焼の壷が見つかりました。丹波焼は、現在の兵庫県丹波地方で焼かれた陶器で、緩やかな肩部の曲線と淡緑や深緑色の自然釉が美しい陶器です。中世の丹波焼の流通範囲は狭く、近畿地方と西日本方面にみられるだけで、現在知られている東日本での丹波焼製品の出土例は青森県で一件あるだけです。本来出土するはずのない丹波焼の製品が小さな山合いに営まれた山根遺跡になぜ運ばれてきたのか。近畿地方の特産品か何か貴重なものを入れる容器として運ばれてきたのでしょうか。そうだとすれば、貴重なものが運ばれてくる背景がこの山根遺跡にはあったと考えられ、ますます謎は深まっていきます。

丹波焼壷・17世紀(篠山市文化財)
丹波焼壷・17世紀|写真(丹波古陶館蔵)
丹波焼の流通範囲
丹波焼の主な流通範囲は西日本の数国程度の狭い地域に限られ、本来東日本に入ってくるルートはありませんでした。
丹波焼の流通範囲|地図