嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第3章:草むらの主な動物たち
第1節:山すそや路ぼうの草むら
5.草地で見られる昆虫類など
ふだん何気なく通りすぎる道ばたや山すその草地にも、草の花が咲き出すとたくさんの昆虫たちが訪れます。よく見ると葉っぱの上でじっとしているものや、草地をせわしく飛びまわるものなど、実に多彩な顔ぶれです。春と秋に花を咲かせるアザミ類にはヒョウモンチョウの仲間やハナバチ類が多く、春に勢いよく延びるスイバや夏に繁茂するカラムシ、帰化植物のブタクサ類などにもそれぞれ虫がついています。こうした昆虫たちを捕食するムシヒキアブの仲間も見られることでしょう。さらに草で被われた地面にもたくさんの動物たちがくらしています。
草地にもいろいろありますが、近ごろの草地には帰化植物といわれる外国産の植物たちが入り込み、昔ながらの草地は少なくなってきているようです。荒れてしまった草地には動物たちもほとんど見られませんが、それでもアザミやトラノオなどが残っている場所では、花を咲かせる時期にはいろいろな昆虫たちが姿を見せてくれます。
- ブタクサハムシが加害し始めると最初は葉に小さなあながたくさん見られる程度ですが、夏が終わる頃には丸坊主で葉もなくなってしまいます。その勢いを見ると、ちょっと怖いような気もします。
ツマグロオオヨコバイは全体が黄緑色で、ハネの先端が黒く特徴があります。クワ・アジサイ・ブドウなど...全文-
花粉症の原因となるブタクサ類を丸坊主にしてしまうブタクサハムシ。北米原産のこの虫が...全文
田んぼの脇や道ばたなどに繁茂しているカラムシには、アカタテハやフクラスズメといったチョウやガの幼虫がつき、特にフクラスズメは葉っぱを丸坊主にしてしまいます。また草むらにはウスカワマイマイやニッポンマイマイ、オナジマイマイ、ヒメオカモノアラガイなどの小さなカタツムリ類がよく見られます。なかでもヒメオカモノアラガイは貝殻が6〜8ミリメートルと小型です。なおヒメオカモノアラガイは、異常繁殖し、農作物に被害を与えることで有名なオカモノアラガイとは違い、害を与えた話はあまり聞きません。
カラムシの葉がこのように合わさっていたら、この中にはアカタテハの幼虫がいるはずです。そっと開けてみると、トゲのたくさん生えた幼虫が出てきます。このトゲは全然刺さらないので、素手で触っても平気です。
草はらを歩いているとき、手が触れると「ピリッ」と痛みを感じるイラクサ類。この草を食べる大型の派手な毛虫を見たことがありますか?白黒のしま模様があれば、フクラスズメというガの幼虫です。人が近づくと激しく体をゆりうごかし、思わずおどろかされます。また大発生して、草の葉を丸坊主にしてしまうこともあります。それにしても、よくこんな草を食べるものだと関心します。
キリギリスは、草はらにすんでいる大型の鳴く虫です。成虫は7月から8月にかけてあらわれます。真夏の暑い日ざしをいっぱいに浴びて、「ギーッチョン」と盛んに鳴きます。
キリギリスやコオロギの仲間は、鳴く虫の代表です。文部省唱歌の「虫のこえ」にはいくつかの虫の名前が出てきます。そのうちのマツムシとスズムシはコオロギの仲間で、クツワムシとウマオイはキリギリスの仲間です。これらの昆虫のオスは、前バネをこすり合わせて、音を出します。鳴く虫が音を出している様子を「鳴いている」と表現しますが、実際には口で鳴いているわけではありません。ですから、人の声や鳥の鳴き声が口(のど)から出ているのとは大きく異なっています。また、音の出し方は、ハネの形や大きさ、ハネのすじの様子によって決まっていますので、種類ごとにそれぞれ決まった音が出ます。
多くのキリギリスやコオロギは秋に鳴きますが、なかには春に鳴いたり、初夏に鳴く種類もいます。
- ノイバラの白い花咲き乱れるころになると、さまざまな昆虫たちが集まってきます。