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嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」

第1節:嵐山渓谷の川原の石

1.堆積岩

堆積岩(たいせきがん)は、でき方の違いで、砕屑岩(さいせつがん)、火山砕屑岩(かざんさいせつがん)、生物岩(せいぶつがん)に区分されます。

このうち、嵐山渓谷の川原に見られるのは砕屑岩と生物岩の2種類です。

堆積岩 砕屑岩 泥岩 泥岩|写真
砂岩 砂岩|写真
礫岩 未確認
火山砕屑岩 凝灰岩 未確認
火山礫岩 未確認
凝灰角礫岩 未確認
火山角礫岩 未確認
生物岩 チャート チャート|写真
石灰岩 石灰岩|写真

砕屑岩(さいせつがん)

岩石は、風化作用や運搬作用によって砕かれ、礫(れき)、砂、泥などの粒子になります。

これらの粒子を砕屑物といいい、これらが選別され堆積して固まったものを砕屑岩と呼びます。

構成する主な粒子によって粒の小さい方から泥岩、砂岩、礫岩に区分されます。

砕屑岩

泥岩(でいがん)

泥岩|写真 泥(0.1mm未満の粒)が堆積してできた岩石です。表面の色は灰色から黒色ですが、嵐山渓谷では黒っぽい色の泥岩が目立ちます。

小川町の古寺や官ノ倉山にこの石のふるさとがあり、ここの泥岩の中からは、放散虫(ほうさんちゅう)の化石が発見されています。

泥岩|写真2 頁岩
泥岩の一種に、ハンマーで叩くと板状にはがれるように割れるものがあります。
割れたときの形状が「本」の頁ににていることから頁岩(けつがん)と呼ばれています。

砕屑岩

砂岩(さがん)

砂岩|写真 砂(0.1mm〜2mmの粒)が堆積してできた岩石です。表面がザラザラしているので、手で触って砂粒を区別してみましょう。
川原では薄茶色のものが多く見られますが、これは風化の結果です。

灰色の砂岩|写真 灰色の砂岩
新鮮なものは灰色から黒灰色をしています。

砂岩の顕微鏡写真 砂岩の顕微鏡写真
砂岩を薄く削って顕微鏡で見ると、砂粒が集まっていることがわかります。
粒の多くは石英です。

生物岩(せいぶつがん)

生物の生成物や遺体が堆積してできた岩石です。
嵐山渓谷の川原では、チャートと石灰岩が見られます。

生物岩

チャート

チャート|写真1 二酸化ケイ素の殻をもつ放散虫などの微生物の遺骸が海底に堆積してできた岩石です。一部に泥や無機的に生成された化学岩も含むといわれています。
非常に固い岩石で、丸みのない角張ったものが多く見られます。ハンマーで叩くと火花が出ます。昔は火打ち石として利用されました。

表面の色は白色、緑色、ピンク色など、さまざまですが、これは、岩石の成分としてわずかに含まれる金属成分の違いによる色とされています。
チャート|写真2 チャート|写真3 チャート|写真4

この岩石のふるさとは、上流の小川町です。そこにある松郷峠(まつごうとおげ)のチャートからは、放散虫の化石が発見されています。

生物岩

石灰岩(せっかいがん)

石灰岩|写真 岩石の主成分は炭酸カルシウム。サンゴ、貝、有孔虫などの殻が堆積してできた岩石です。
白色で川原では目立つ存在です。釘で傷がつく軟らかさで、丸みのあるものが多く見られます。白が基調ですが、灰色から淡青色を示すものも見られます。

この岩石のふるさとは、上流の小川町にある石灰岩の小岩体と考えられます。
灰色の石灰岩|写真 白い脈のはいった石灰岩|写真
灰色の石灰岩(左)と白い脈の入った石灰岩(右)

第1節:嵐山渓谷の川原の石