嵐山町web博物誌・第3巻「嵐山ジオロジア」
第1節:古い地層や岩石―約2300万年以前
4.寄居層のミステリー
主に砂岩でできた地層
嵐山町の平沢から千手堂にかけて、寄居層(よりいそう)という地層が山裾に広がっています。この地層は主に砂岩層からなります。砂岩層中には、チャートや石英斑岩(せきえい はんがん)、花こう岩などの礫(れき)も時折含まれています。
- 寄居層が露出する崖(平沢)
- 崖全体が寄居層。風化面を取り除くと寄居層がよく見られます。
- 崖の一部の拡大写真
- 石垣の上を拡大した写真。砂岩で、ところどころに礫も含まれます。
- 平沢の崖に見られる寄居層の拡大写真
- ここでは、粒の粗い砂の中に細礫がたくさん入っている様子が見られます。
- 荒川河岸(寄居町)に露出する寄居層の露頭
- 写真中央より下の灰色の部分は泥岩層で、その上の白っぽいところが礫岩層です。
- 礫岩層部の拡大写真
- 粗い砂の中に細礫がたくさん含まれています。
およそ6500万年前、海で堆積した地層
まだ嵐山町の寄居層からは発見されていませんが、寄居町の寄居層ではサメの歯の化石が発見されています。このため、寄居層が海で堆積したことは、まず間違いありません。その時代は、およそ6500万年前。
これは、小川町の寄居層に見られる凝灰岩層(火山灰の地層)を年代測定した結果です。
一体、どこでどのように…
地質年表
約6500万年前は、地質時代で言うと古新第三紀の暁新世(ぎょうしんせい)にあたります。
しかし、その時代に海であった証拠を示す地層は、関東近辺では太平洋側の四万十帯(しまんとたい)以外には見あたりません。
さらに、寄居層は地下深くには続いていない「移動地塊」と考えられています。
こうしたことから地質学上、寄居層は謎の多い地層の一つです。
どこでどのように堆積し、どうやって現在の場所に来たのか…。大きなミステリーです。
第1節:古い地層や岩石―約2300万年以前