嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち
第2節 水辺、河原に見られる動物
6.れきの河原で見られる動物たち
都幾川など広い河原に行くと、さまざまな大きさの石がごろごろと転がっている様子を見かけます。こうしたれきの河原には、たいして草も生えておらず、特に何もいないように見えます。しかし実際に探してみると、じつに多くの動物がいることに気づきます。イカルチドリやセキレイ類などの鳥類はこうした場所を好み、水際にある石の間には昆虫類やクモ類が多く、これらの鳥のエサにもなっています。また、それらの生きものは、他の環境では見ることの出来ない種が多いのも特徴です。
最近はこうした場所でバーベキューなどレジャーを楽しむ人たちも多いようですが、その際には生きものたちのすみかを踏み荒らすことのないよう、気づかってほしいものです。河原は多くの生きものたちが生活の場としている所です。
イカルチドリは日本各地に分布していて、ふつう河川の中流から上流にかけての河原や中州にすんでいます...
似たような大きさの石が集まっている“れきの河原”の水際は、ある石は水に潜り、ある石は水から出て乾き、水に関わる条件がびみょうに異なる独特な環境が出来ています。こうした所を好む生きものは、他の生きものにくらべその生息場所も極端に限られます。
河原でよく見かけるセキレイ類の中で、胸や腹が黄色いのがキセキレイです。春から初夏のころ、平地から低い山地の河川、池沼の近くで繁殖し、盛夏の頃になると高い山地の渓流付近に移動してくらしています。セキレイ類のエサはいずれも主として昆虫類やクモ類です。
ハクセキレイは、以前は夏季に北海道や本州北部の海岸地方で繁殖し、冬季は本州、四国、九州等の温暖な地方に移動していました。それが近年、繁殖地を南に拡大しはじめ、いまでは和歌山県まで南下しました。また海岸地方だけでなく内陸の地でも見られますが、河川の下流域でよく見られます。白と黒の羽毛を持ち、セグロセキレイによく似ています。
セグロセキレイはその名のとおり、頭部から背面にかけて黒く、腹部は白いセキレイです。ハクセキレイとよく似ていますが、顔の部分の白と黒のもようが異なります。内陸の池沼周辺や河川の中流以上の河原でよく見かけます。
セキレイ類の見分け方
嵐山町で見かけるセキレイ類で「細長い体に、長い尾を持つ」という、形や大きさが互いによく似ているセキレイ類3種(キセキレイ、ハクセキレイ、セグロセキレイ)について、そのおおまかな区別点を説明します。
【1】キセキレイ
体を包む羽毛の色が、胸から腹にかけてと腰に黄色い部分があります。
【2】ハクセキレイ
体は白と黒の羽毛でおおわれ、顔の部分はくちばしのつけ根から眼を通る細い黒線があるだけで、眼の上下は白くなっています。
【3】セグロセキレイ
上くちばしの付け根から眼の上にかけて、細い線状の白い部分があり、下くちばしの付け根が白いだけで、あとは黒いのが特徴です。