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嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」

第6章:野生動物の保護

第2節:身近な自然の保護とは

3.自然観察のすすめ

観察する男の子のイラスト 近年になって、人と環境との間にはいろいろな関係のあることがわかってきました。そして自然環境の保全とか自然保護、あるいは生物多様性の保全などについて世界各地でさけばれるようになってきました。
 ここでは自然に親しみ、自然をよく知る第一歩として、自然の観察をおすすめしたいと思います。

まず身近な自然を観察しましょう

 自然観察はまず身近な自然の観察から始めるのが良いでしょう。自宅の庭を始めとして、近くの道端や生垣あるいは神社やお寺の境内など、いつもよく見ている所の動植物の観察をやってみることです。場所が住宅地でも農村でも、ていねいによく見ていくと、はじめに想像していた数よりもはるかに多くの種類の動植物が見られるものです。

生物の正しい名前を覚えましょう

 自然観察で見かけた動植物の中で、正しい名前を知っているものがいくつぐらいありましたか?
 個々の生きものの名は知らなくても自然観察はできます。しかしどんな生きものでもその名を知れば、知らなかった時より親しみを感じ、自然観察がより楽しくなるものです。図鑑を開いて、図だけでなく文字で書かれた解説を読みながら名前を調べるのもまた楽しいものです。くわしく知っている人に教えてもらうのもよいでしょう。いずれにしても、身近な生きもので主なものぐらいは、その名を覚えてほしいものです。自然観察をより楽しくするために。

観察の記録をつけましょう

記録をつける女の子のイラスト 観察の結果をノートにでも書き留めておきましょう。
 感動と興奮を感じながら観察した自然界の出来事も、時間の経過とともに細かいことは次第に忘れてゆくものです。そこで忘れないうちに観察したことを書き留めておきます。始めのうちはちょっと面倒な事と思うかもしれません。しかしこれが習慣になれば、さほど難しいことではありません。
 「いつ、どこで、何を見たか、それは何をしていたか」などを書き留めておくと、何年かたってそれを整理するといろいろなことがわかるようになります。
 たとえばウグイスのさえずり(ホーホケキョ)をはじめて聞いたのはいつ、ツバメの姿をはじめて見たのはいつ、アブラゼミの鳴き声をはじめて聞いたのはいつ、などと整理していくと、いつの間にか季節の移り変わりを示す「生物暦(せいぶつごよみ)」ができてきます。それをさらに何年も続けていくと、しだいに正確なものができてきて、ひとつの大きな楽しみがつくられるようになってきます。
 生物暦だけではありません。記録のつけ方、整理の仕方を変えれば、もっともっといろいろなことを知ることができるものです。自然観察はまさに自然を学ぶ第一歩なのです。それは根気よく続けることが大切なしごとなのです。

観察をする子どもたちの写真
自然界の魅力を知る自然観察

自然観察をする親子の写真
自然観察をする親子
 自然界は、親しみこれを学べば学ぶほど、謎と魅力がいっぱいの世界です。そしてこの自然界をたずねてその扉をたたく自然観察は、それぞれの人の経験や知識に応じて、新しい体験との出会いと感動があり、新しい知識を得る喜びがあるものです。それだけではありません。何年も回を重ねていくと、以前の観察で大きな感動を与えてくれた生きものとの再会があった時などは、何ともいえないなつかしさと、また会うことが出来た喜びを与えてくれるものです。
 多くの人々がぜひ、根気よく自然観察をおこなってみてください。自然観察を通して正しく自然を知ることこそ、自然保護の基盤として大変重要なことではないでしょうか。

危険な動物

 自然観察のときに特に気をつけるのは、自然界には危険な動物もいるということです。たいていのものは命に関わるような危険性はありませんが、ここでは最低限知っておきたい危険な動物類の代表的なものをいくつかあげてみました。

マムシの写真マムシ
嵐山町には昔から毒蛇として良く知られている「マムシ」と、最近になって毒蛇であることがわかった「ヤマカガシ」の2種類が見られます。どちらも湿り気の多い田んぼや、その周辺の草地、また森林などで見かけることの多いヘビです。これらにかみつかれると、毒牙によって毒が注入され、それによって命にかかわることもありますので、十分に気をつけなければいけません。これらのヘビは、自分の身を守るためにかみつくといわれています。そこで、ヘビを見つけたときは、むやみに近づいて捕らえようとしたり、いじめたりしてはいけません。もし、うっかりしてヘビにかまれたときは、あわてずにヘビの特徴を良く見きわめ、いそいで病院に行き医師の手当てを受けてください。
(くわしくは第4章 第3節 7.田んぼのまわりに見られる動物たちを参照)

ムモンホソアシナガバチの写真ムモンホソアシナガバチ
ハチ類の仲間で、スズメバチ類やアシナガバチ類に刺されると、人によってはアナフィラキシーショックというアレルギー反応により死亡する場合があります。同じ種類に2度目以降刺された時は要注意です。手出しをしなければ襲ってくることはめったにありません。もし襲われても、身を低くしてすばやくその場を離れましょう。(くわしくは第5章 第1節 6.庭によく巣をつくるハチ、アリを参照)

ほかにも毒を持つガの幼虫(毛虫)・成虫やムカデ類、刺されて痛いサシガメ類などは気をつける必要があります。動物は自分の身を守るためにとっている行動ですから、悪者あつかいは良くありません。手を出し、刺されて痛い思いをするのは自分です。危険な動物と出会ったら、そっと身を引くのが自然観察のマナーでしょう。