ページの先頭

嵐山町web博物誌・第2巻「プランタ」

第1節:年中行事と植物

2.春

分(せつぶん)

節分
焼嗅|写真豆まき|写真  節分は年取(としとり)ともいいます。この行事はヤッカガシと豆まきで構成されています。ヤッカガシは、大豆の木に鰯(いわし)の尻、頭をさし、大豆の木を燃料にして囲炉裏で焼きます。唾(つば)をかけながら、「稲の虫を焼く」とか「菜の虫を焼く」とか、「四二色の耕作の虫を焼く」などと唱え事をいい、今年の豊作を願います。それに柊(ひいらぎ)をそえてトボグチ(玄関)に二本さします。三本、または五本さす家もあります。縁側の軒下にさす家もあります。
 豆まきは囲炉裏で豆を炒り、炒った豆を一升桝に入れ年神様に供えてから、雨戸を開けて行います。「福は内、鬼は外、福は内」などといいます。鬼鎮神社の氏子である川島では「福は内、鬼は内、悪魔外、悪魔外」といい「鬼は外」とはいいません。

嵐山町博物誌・写真で綴る嵐山歳事記【祭りと年中行事編】
ダイズ(大豆)栽培
ダイズ|写真 種子を収穫する目的で栽培されたものを大豆といいます。未熟なうちにとって食用とするものを枝豆といいます。
根に根粒バクテリアが共生して、空気から得た窒素を固定します。
ヒイラギ(柊)
ヒイラギ|写真 葉は表面に光沢があり、厚くてかたく、トゲがあります。モクセイ科で、晩秋に香りのよい白色の花が咲きます。老樹になるとトゲがしだいに減ります。

を祝う行事・祭り

桃の節句
雛祭り|写真 嵐山町では雛祭(ひなまつ)りは月遅れの四月三日に行われます。雛祭りのお供え物は菱餅(ひしもち)です。白い餅と、紅などで赤くした餅、それに草餅を、菱形に切ったものを重ねたものです。雛壇にはこの時期に咲く桃の花がつきものです。そのため、桃の節句ともいわれています。

嵐山町博物誌・写真で綴る嵐山歳事記【祭りと年中行事編】

草餅|写真 草餅は、熱湯でねった米の粉に、ゆでた蓬(よもぎ)をこねまぜて蒸したもので、あんをくるんだり、黄粉(きなこ)をまぶしたりして食べます。

嵐山町博物誌・写真で綴る嵐山歳事記【祭りと年中行事編】
モモの花(桃の花)栽培
ハナモモ|写真 中国原産。4月の初めごろ、葉よりも先に花が咲きます。
花が八重咲きや菊咲きの観賞用の品種もあり、一般にハナモモといわれます。
ヨモギ(蓬)
ヨモギ|写真 早春に出た若芽を摘んで草餅作りに用います。
葉や茎が灰白色の綿毛でおおわれ、よい香りがします。葉は乾かしてお灸用のもぐさが作られます。

オシャカ様
花まつり|写真  潅仏会(かんぶつえ)はオシャカ様といわれます。四月八日に行われる地区もあります。多くは月遅れの五月八日に行われます。花御堂(はなみどう)の中にお釈迦様の誕生仏を飾り、参詣者は甘茶(あまちゃ)を誕生仏にかけ、自分でもいただきます。〔中略〕
 各家では、それぞれ山から採ってきた藤の葉をトボグチにさしたり、藤の葉ウツギをトボグチや屋根にさしました。悪い者が来る日ということで「藤で縛ってウツギで打つ」といったり「卯月八日は吉日よ、神さげ虫の成敗ぞする」という唱え言をいったりもします。この日には柏餅を作りました。

軒先にさしたフジ|写真 藤の枝がさされた民家の軒先

嵐山町博物誌・写真で綴る嵐山歳事記【祭りと年中行事編】
フジ(藤)
フジ|写真 マメ科でつる性の落葉木本(らくようもくほん)です。別名をノダフジといいます。つるは高い木に巻き付いて樹冠に達します。つるは、かごなどを編む材料にします。
ウツギ
ウツギ|写真 若いときの茎は髄がつまっていますが、生長しきった茎は髄がなくなって空洞となるので、ウツギ(空木)の名がつきました。旧暦の卯月に純白の花を開くのでウノハナの別名があります。
材質が固く緻密なので、木くぎ、小ようじ、小鳥のとまり木などに用いられます。
第1節:年中行事と植物