嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第2章:森や林の主な動物たち
第3節:山沿いの動物
コラムCOLUMN
托卵(たくらん)のはなし
ツバメの巣を見たことがあるでしょう。巣の縁にずらりと並んだ小さなひなが、親鳥が戻ってくるといっせいに口をあけてエサをねだる様子は本当にほほえましいものです。しかし、ひなが育ち飛べるようになると、ひなは次々と巣から飛び去り、親鳥も戻らなくなって巣は空になってしまいます。巣は鳥にとっては卵を産みひなを育てる場所なのです。
巣づくりに適した場所の環境条件や巣の材料、巣の形等は鳥の種類によってだいたい決まっていますが、さらに親鳥の作業分担も決まっていて、種類により雌雄協同で作るか、雌雄のどちらか一方だけで作っています。ところがホトトギスやカッコウなどは、大切な巣づくりの作業をオスもメスもまったくせず、自分の巣を作りません。そこで彼らの子育ては他の鳥の巣に卵を1つずつ産み込んで、その巣の鳥に仮親になってもらい、卵を抱きひなを育ててもらっています。いろいろな鳥が仮親にされていますが、ホトトギスはウグイスを、カッコウはオオヨシキリやホオジロを仮親とすることが多いようです。このように仮親の巣に卵を産み込み、卵を抱くことからひなを育てることまで全てやってもらうことを托卵といいます
ヨシキリに育てられるカッコウのひな