嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第6章:野生動物の保護
第1節:嵐山町の自然保護活動
3.ホタルの里
都幾川沿いに整備されたホタルの里。この場所には昔「長慶寺淵... 全文および画像
ホタルの里で見られるゲンジボタル...自然に移ってきたもの...全文 菅谷館跡より流れる湧水を利用して整備した「ホタルの里」は、オオムラサキの森や蝶の里公園と同様に、もとからある自然を生かした水生生物の保護地です。ゲンジとヘイケ2種類のホタルについては、嵐山町に昔からすむホタルの性質が残るよう、外部の養殖個体はいっさい放さずに、もともと生息するものが自然に発生するよう工夫しています。1996(平成8)年の完成当初はまったくホタルが見られず、さみしいものでした。しかし最近ではホタル以外にも、めずらしいトンボ類やミズカマキリ、ミズスマシなどが集まってきており、水生生物の貴重な生息地として安定しつつあります。
人が歩くと、どうしても踏み固められて乾燥してしまいます。そのためホタルの里では木道を敷きました。また、ホタルの発生にはまっ暗闇が必要なことから、周囲を取りかこむように様々な樹木を植えて、街灯などの光をさえぎるようにしています。
生息環境
ゲンジボタル
- きれいな流水
- 暗闇
- 茂み(湿度を保つ、成虫が止まって休む)
- カワニナ(幼虫のエサ、大量に)
- 苔むした岸辺(産卵、蛹化の場所)
ヘイケボタル
- きれいな止水(水田、池沼など)
- 暗闇
- 茂み(湿度を保つ、成虫が止まって休む)
- ヒメモノアラガイなど(幼虫のエサ、大量に)
- 土盛りのあぜ、岸辺(産卵、蛹化の場所)
作りかえる工夫の例
現在の状態から、さらにホタルがすみやすい環境へと作りかえるには、まず水辺に低木を植えて水面の周囲をおおうことが必要です。さらに蛇籠の表面に土を盛り、水辺に生育する苔を張り付けてあげます。これだけでずいぶんと良くなるはずです。あとは自然の生息地をお手本に、より近い状態にしてゆくことです。最近は各地でホタルの保護活動が盛んですが、こうしたことを参考に進めてゆくと良いでしょう。