第6巻【近世・近代・現代編】- 第6章:くらし
川島の今昔[権田重良]
権田重良
鬼神様の戦前・戦中の繁栄の様子は昔を知る人の語り草となっているが、そのにぎわいがいつの時代からなのかは定かではない。今に伝わる川島の各家の屋号は、神社参拝に訪れる人々を相手の商売や、農家のかたわらしていた職業を示していると思われる。
昔よりこの地は上(かみ)、下(しも)の川島で呼ばれ、鬼鎮神社西側、志賀新田境までを上組(かみぐみ)、鬼鎮神社の東側、月輪境までを下組(しもぐみ)とよんでいた。
上組の戦前は西側より、綿屋(わたや)【権田栄。綿打】、塗師屋・絵馬屋【田幡勇。鬼鎮神社絵馬師】、こまもん【権田本之。小間物商】、新聞屋【権田宗一】、籠屋(かごや)【権田。昭和初期他所へ移転】、新井屋(あらいや)【権田良一。穀屋】と六軒ならんでいる。薬師様北側の市野川沿いに下(した)の屋敷【古屋敷(ふるやしき)】の場所がある。その昔、権田宇多之守(うたのかみ)と呼ぶ刀鍛冶の屋敷があったと言い伝えがあり、昔話が残っている。