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第6巻【近世・近代・現代編】- 第5章:社会

第2節:福祉・社会活動

新生活運動

封建社会の克服

             菅谷村青年団菅谷支部・中島時次

 いよいよ講和条約が発効した。今後は日本も自立して行かなければならない。従って、我々青年には幼い日本を背負っていく重大な義務がある。かかる重要な時期に於て我々は古い考えをすてる事が先決問題だ。
 但し青年層の中にすら未だに封建的思想の抜け切らない者も居る。
 おそらく今の若い者ならば誰しも多少なり民主的に目覚めている筈だ。
 菅谷村ばかりでなく農村に於ては封建的思想がかなり強い。湧き上がる青年層の新しい思想もむしろ阻止されてしまっている。都会に於てはこんな例は少いが、特に農村では親兄弟が封建的な為に自分が思う事も出来ずに居る人があると思う。とにかく農村には昔からの「しきたり」だから仕様がないと云う観念が相当強く頭にこびりついてしまって居る様だ。
 迷信は封建社会には付き物であるが一つ二つ例を拾って見よう。
 ある家では先祖からの言い伝えで正月中は絶対風呂に入る事ができないと言う家がある。又、同じく正月に餅を食う事が出来ないなんて情けない家風もある。もしこれに違反すれば家中病気になって死絶えてしまうそうだ。結婚問題など特にうるさい様だ。年が悪いとか家の方向がどうだとか、一体何処に科学的根拠が有るものやら判らなひ。昔からの言い伝えでもはっきりした根拠があるものも有る。親が言うから兄弟がうるさいからと言って泣きねいりしてしまう様では、新日本を背って立つ事は出来ない。
 我々は進んで新しい民主主義と云うものを封建的な人達になっとくせしめ常に先に立って菅谷村民主化の為の運動を起すべきである。
 講和条約発効の時 今こそ我々を旧ひ時代の流れに逆行させんとする封建的思想をくちくせよ。

菅谷村青年団『文化の窓』創刊号(1952年5月)より
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