第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光
新たな農業の担い手を
越畑 新井 弘
今年の春、農業委員会が町内の遊休農地を調べた。二十アール以上のまとまった荒地が五三団地、二六ヘクタール余あった。小面積の荒地はこの数倍に及ぶのではないかと推測される。
『嵐山町農業委員会報』24号 1993年12月25日
恒常的な勤人となり、農家経済を安定させて、休日に家業の農作業に励む生活スタイルが限界にきたことが荒地の増加という現象になったのであろう。
一方新規就農者がこの十年来一人もいない。近郊農村である嵐山町の経済構造の中で若い人の就農を望むのは無理であろう。
だがこのまま農地が荒地化した将来の農村の姿を思うと心寒い限りである。
農業の担い手に誰がなるのか。六十才前後で企業などを定年の元気な人達がいる。この人達を新しい後継者と考えて、そのように処遇する農村社会のしくみをつくりその活動を期待したい。
経験豊かで知恵も体力も実行力もある人達が営農組合等を組織して地域の農業の中心勢力となって、農作業の受委託等の集団活動で農村の活性化を促すことを期待したい。十年程度で順次交代してゆけば活動が中断することなく続くだろう。十年位農業に励むことは定年後の生活の張り合いにもなるだろう。
地域社会の深い理解と、町、農協の強力な支援が望まれる。