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第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光

第3節:農耕・園芸

女性だけの花生産組織

埼玉・嵐山町花の研究会
直売所が縁で結成 出荷順調、産地化へ期待

 埼玉県嵐山町のJA埼玉中央嵐山支店では、JAの直売所が取り持つ縁で、女性だけの花の生産組織が産声を上げた。取り組むのは五十代の農家の担い手、二十二人。共同で種まき作業を行い、技術を学んでいる。市場と直売所への出荷も軌道に乗り、新たな花産地として地域の期待もかかる。
 この組織は、「嵐山町花の研究会」。発足は昨年(1997)六月。会員は野菜や切り花を栽培して、JAの直売所へ出荷する女性たち。直売所で顔を合わせるたびに「花を作りたいね」「それなら市場出荷しよう」「量をまとめるには一緒にやろう」と意見がまとまった。早速、ほかの女性に呼び掛けたところ二十二人が集まった。
 技術は、東松山農業改良普及センターがバックアップ。昨年十二月には、四人の会員がパンジー、ノースポールの花苗を市場に初出荷した。
 この(1998年)三月には、瀬山和子さんの野菜ハウスを借りて、二百三十箱にマリーゴールド、サルビア、アゲラータムの三種類を種まきした。先月(4月)末にはこれを会員に配布し、今月中旬には市場出荷が始まる。
 瀬山さんは、野菜を市場と直売所に出荷していたが「新しいことに取り組みたい」と始めた。赤花のオダマキ、ガザニア、パンジーなどは市場でも高値で取引され、直売所でも売り切れるほどの人気。「咲き出すのが楽しみ。年三回の回転で出荷したい」と、新しい作物に期待も大きい。
 同JA直売所は一九八九年にオープン。生産部会の五十三人の会員は、女性と高齢者が主力。花苗は種類が多いのが特徴。今のシーズンはスズラン、ヒトリムスメ、ハタルブクロなどの草花のほか、食用のナスタチュウム、スイートバジルといったハーブ類も豊富。女性客にも「顔見知りになると、こちらから苗の注文ができるのがいい」と評判も上々。
 同JAの遠山尚支店長は「女性の生産者組織ができたので、これからは花きやはハーブの栽培に力を入れていきたい」と話している。

『日本農業新聞』1998年(平成10)5月8日
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