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第6巻【近世・近代・現代編】- 第3章:産業・観光

第3節:農耕・園芸

小作料軽減覚書 大蔵小作人一同

   覚書

 大字区民ノ生活ノ安定ト平和円満トヲ熟望セルモ古来ヨリノ田方小作料高率ナルタメ従来小作料ノ減額要求屡々(しばしば)起リツツアルヲ甚ダ大字ノ不祥事トシ今回小作人一同熟議ノ上昭和六年度ノ産米ヨリ永久ニ小作料ノ軽減ヲ歎願シ地主各位ト数度ノ会見折衝ニヨリ現下不況ノ深刻ナル折柄一段ノ勤勉努力ヲ経(たていと)トシ共存同栄ヲ緯(よこいと)トシ郷土愛ノ温情ニヨリ左記ノ通リ軽減セラル事ニ協定被下候以上今後如何ナル凶作ニ遭逢スルモ絶対ニ小作軽減ノ歎願ヲ致サザルベク小作人一同ニ代リ代表者連署シテ今後ヲ誓約ス為将来覚書一札如件
 但シ免租若シクハ政府ノ救助ヲ仰グべキ大凶作ハ此限リニアラズ
昭和六年十二月十七日     右【上】代表者
                  野村三郎 印
                  金井親治 印
                  野口民吉 印
  地主
   金井ノ作
   山下庫次郎
   冨岡茂八
   新藤延平 殿
   山下與平
   山下卯之吉

     左【下】記
  田方
従来ノ小作料一反歩一石五斗ヲ一石三斗五升ニ減ズル事
一石五斗以下ノ乾田及一石以上ノ水田ハ前記ノ率ニ減ズルコト
 但シ特別割引シアル協定ハ此限リニアラズ
奨励米ハ村規定ノ通リ下ハ一俵ニツキ一升、不合格ハ二升ノ割増米ヲ付スル事

  畑方
麦畑ノ周囲ニ現存セル畦桑ヲ今後三年以内ニ相互協定撤去シ桑小作金ヲ廃シ麦小作料一畝歩ニ対シ小麦一升大豆五合ヲ増量スル事
 但シ大豆ヲ大小麦ニ換ヘルコトヲモ得
畑方ノ改正実施ハ昭和七年度ヨリトス
                以上

古文書資料

※今後小作料減免を要求しないという条件で、1931年(昭和6)産米より水田一反歩(300坪)当の小作料1石5斗を1石3斗5升、1割減とする協定である。【1石=10斗、1斗=10升。米1俵=4斗(16貫、60kg)、1石=2俵半。】

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