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第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政

第4節:平成

平成の大合併

市町村合併を考える2

 今回は、市町村合併の必要性、メリット(一般的な効果)、デメリット(懸念される事項)を考えてみましょう。

●合併が今なぜ必要なのか?

 今、市町村合併が求められる理由としては、次のようなことがあげられます。
《地方分権の推進》
高齢化への対応》
《多様化する住民ニーズへの対応》
《生活圏の広域化への対応》
《効率性の向上》

※高齢者人口と高齢者率

一覧表

●メリット(一般的効果)

 現在考えられる一般的な市町村合併のメリットを整理すると次のようになります。

◆住民の利便性の向上

○利用可能な窓口の増加により、窓口サービスが、多くの場所で利用可能になる。
○生活の実態に即した小中学校区が設定できる。
○他の市町村の公共施設(図書館、スポーツ施設、保健福祉センター等)が利用しやすくなる。

◆サービスの高度化・多様化

○設置困難な女性政策や都市計画、国際化、情報化等の専任の組織・職員を置くことができ、より多様な個性ある行政施策の展開が可能となる。
○専門職(社会福祉士、保健師、理学療養士、土木技師、建築技師等)の採用・増強を図ることができ、専門かつ高度なサービスの提供が可能になる。
○公共的団体の統合や新設が図られ、多様な事業、広域的な事業等の展開が可能になる。
○職員の競争が促され、研修の円滑な実施が可能となり、職員がレベルアップし、行政レベルも向上する。

◆重点的な投資による基盤整備の推進

○重点的な投資が可能となり、地域の中核となる整備や大規模な投資を必要とするプロジェクトの実施が可能になる。

◆広域的観点に立ったまちづくりと施策展開

○道路や公共施設の整備、土地利用など、まちづくりをより効果的に実施することができる。
○環境問題や水資源問題、観光振興など、広域的な調整、取り組み等を必要とする課題に関する施策を有効に展開できる。

◆行財政の効率化

○管理部門の効率化が図られ、サービス提供や事業実施を直接担当する部門等を手厚くするとともに、職員数を全体的に少なくすることができる。
○三役や議員、委員会や審議会の委員、事務局職員などの総数が減少し、経費も節約される。
○広域的観点から、狭い地域で類似施設の重複がなくなる。

◆地域のイメージアップと総合的な活力の強化

○地域の存在感や「格」の向上と地域のイメージアップにつながり、企業の進出や若者の定着、重要プロジェクトの誘致が期待できる。
○指定都市(人口50万以上)、中核市(人口30万以上)や特例市(人口20万以上)の指定を受け、より総合的な行政を展開できる

●デメリット(懸念事項)

 合併のデメリットとしては、次のような点がよくいわれるが、それについてどう考えるか、またどう克服するか

Q1 役場が遠くなって、今までより不便になりませんか?

A1 合併後も、それまでの市役所や町村役場は、新市町村の支所や出張所として通常使われて、窓口サービスは今までと変わりなく受けられます。また、情報技術を積極的に活用することによって、近い将来いろいろな場所からオンラインで申請や証明などが行えるようになれば、地理的な距離は問題にならなくなるでしょう。

Q2 中心部だけがよくなって、周辺部はさびれませんか?

A2 合併前に、地域住民のみなさんからのさまざまな意見を反映させながら、市町村間で合併後のまちづくりをどのように進めていくかを話し合い、中心部だけではなく、周辺部のことにも配慮したまちづくりの計画(市町村建設計画)を作ることができます。
 また、合併後は、旧市町村の区域ごとにつくることができる地域審議会という組織で、地域間のバランスをとって事業の実施をしているかどうかをチェックすることができます。

Q3 住民の声が届きにくくなって、サービスのきめ細やかさが失われませんか?

A3 住民のみなさんの声を直接聴いて、きちんと反映させるような仕組みをもっと増やしていくことによって、きめ細やかなサービスを提供することができるようになります。
 地域ごとの公聴会、行政モニター、アンケートといった手法だけでなく、インターネットを活用した意見募集なども有効な方法でしょう。また、住民のみなさんに対して直接サービスを提供する職員については、配置転換などにおいて配慮をすることによって、きめ細やかなサービスを維持することができるでしょう。

Q4 各地域の歴史、文化、伝統などが失われていきませんか?

A4 地域においてそれぞれ育まれてきた歴史、文化、伝統などは、合併後を機に地域の史料館などを整備したりして、新市町村の貴重な財産として守っていくべきものです。住民のみなさんも地域の歴史や文化を見直すチャンスではないでしょうか。

Q5 財政状況に差がある市町村の合併は、財政状況の良い市町村に不利になりませんか?

A5 たしかに財政状況に差がある市町村の合併については、このような不満の声も聞こえます。しかし、住民のみなさんの立場からすれば、通勤地・通学地などを含めた生活圏の一体的な発展が図られることの方が望ましいとも言えるのではないでしょうか。

Q6 福祉などサービスの水準が低下したり、水道料金などが高くなるということはありませんか?

A6 合併前の市町村間で住民サービスの水準が異なったり、使用料や手数料が異なることは多いですが、一般的には、事務の処理方法が効率化することによってサービス水準は高い方に、負担は低い方に調整されることが多いと言われています。これらは、合併前の市町村間で話し合って決められます。

※いろいろな問題も起こりますが、それらを克服するためには合併前によく話し合って良い解決案を見つけることが大切です。

問合せ 役場 企画課 企画振興係【内線番号省略】

嵐山町広報『嵐山』127号 2002年(平成14)8月1日
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