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第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政

第4節:平成

嵐山町

活気ある明日に
——嵐山花見台工業団地の現状——

 大字勝田及び吉田地内に、県企業局によって開発造成が進められてきた嵐山花見台工業団地への進出企業が公表されました。第一次分譲については八月末、第二次分譲については十月末、それぞれ土地引渡し手続きが完了されたものです。日本経済が大きく変化し、低迷が続く中で、三十七社の進出が決定しました。
 二十一世紀を展望し、活力ある町づくりをめざす嵐山町にとっては大きな期待をこめている嵐山花見台工業団地です。造成の経過、概要、進出企業名などについて、商工観光課の担当者にお聞きしました。

緑豊かな工業団地に37社が進出!

嵐山花見台工業団地区画図(図1)
 誘致案内のパンフレットに「緑豊かな丘陵地帯に位置し、自然環境に恵まれた工業団地」というキャッチフレーズで売りに出されました。続けて「関越自動車道小川・嵐山インターチェンジ(仮称)の開発が予定されており、飛躍的な発展の可能性を秘めた工業団地です。」とあります。

 昭和五十七年に町の自主財源を求めて、総合振興計画に盛り込まれた工業団地が、ようやく造成完了に近づきました。勝田及び吉田地内に、九十五ヘクタールの広さを持ち県内でも規模の大きい団地ですが、平成七年初めには完売となるよう努力しているところです。早い企業は来年四月に操業を開始する予定です。
 その特徴は予定地全体の七十八パーセントが山林であった所を切り拓いて造ったことで、周囲には樹林地を残し、全体の四十パーセントにみどりをとったことでしょう。第一公園(多目的グランドも含む)、第二公園(テニスコートが二面ある)調整池は大きいものひとつ、小さいもの二つ、沼も二つが残されました。分譲される面積は五十三・五ヘクタールです。(図1)
 進出企業には、凸版印刷(株)、住友建設(株)、四国化成工業(株)、(株)城南製鋼所など三十七社が名を連ねています。(表1)東京都内より十六社、県内より十九社、その他二社となっています。近くからは東松山市、小川町があり、町内からは旭運輸(株)が進出を決めています。業種は、食料品、科学、金属製品、電気機械、輸送用機械、出版、印刷などさまざまです。中に産業廃棄物中間処理業を含む会社があり、団地内の産業廃棄物のうち三〜四品目については、ここで処理される予定だそうです。

(表1)嵐山花見台工業団地譲受企業一覧表

売買締結度3年以内に建設 比較的早い操業も

 総面積の四十パーセントが緑という工業団地に、建ぺい率五十パーセント、緑地二十パーセントを設けることが義務づけられています。
 給水は県水を導入、排水については雨水は団地内に造った調整池に集められ、農業用水等に使われた後、粕川、滑川へ排水します。工業排水等は各社で自家処理をしてから公共下水道へ接続するなど、環境を重視したことがうかがえます。
 原則として、売買締結後、三年以内に建設し操業を開始することとなっており、現在の様子では比較的早く操業を開始する会社が多い模様です。
 工業団地の周辺道路ですが町道については年内にすべて完了する予定であり県道についてもすでに完了しています。
 バブルが崩壊し、不景気の真っただ中で分譲に出され、心配したわりによい状況となってきましたが、何もかも順風満帆というわけではありません。インターチェンジの問題、通勤道路の問題、ゴミ、産業廃棄物、工業排水などが不安材料としてあげられるでしょう。
 しかし少なくとも雇用機会が増えることが予想され、それにより若者の地元就業が増え、嵐山町の活性化が図られることを期待します。

進出企業の発展に期待

 工業団地の中に立って見ますと、自然が豊かなすばらしい環境であることが肌に感じられます。
 この工業団地の開発にあたっては、二〇四名もの地権者の皆さんの同意と、様々なかたちでのご協力がありました。そのことは、決して忘れてはなりません。
 各社ともこれから工場の建設が進められます。早いところでは来年操業を目指しているそうです。三年後の平成九年には活気ある空間となることでしょう。
 この工業団地への進出企業によって、これから嵐山町が新しい顔に変って行くのではないでしょうか。
 各進出企業がこの嵐山町にしっかりと根をおろし、発展されることを期待します。

嵐山花見台工業団地の概要

○事業の概要
(1) 施行面積 95.0ha (当初 105.1ha)
(2) 事業期間 昭和62年度〜平成6年度
(3) 分譲予定面積 53.5ha (当初 65.0ha)
(4) 分譲時期  平成5年度

○土地利用

区分種別面積(m2)比率(%)
分譲用地工業用地535,00056.3
小計535,00056.3
公共用地道路63,0006.6
公園38,0004.0
緑地270,00028.5
調整池40,0004.2
公益施設用地4,0000.4
小計415,00043.7
合計950,000100.0

○公園・緑地計画
(1) 面積 308,000m2
(2) 緩衝帯(緑地)幅20mm以上
(3) 公園 第1公園(多目的グランドを含む)
      第2公園(テニスコートを含む)

事業の主な経過

昭和60年2月
嵐山町工業開発検討委員会にて工業開発地区を、広野、勝田長沼付近から吉田蟹沢沼付近の範囲とすることを決定する
昭和61年11月
県土地利用行政推進会議において工業開発地区の立地承認を決定する
昭和62年4月
県企業局により嵐山花見台工業団地事業開始される
平成元年6月
造成事業開始される
平成4年2月
造成事業完了する
平成5年11月
第1次分譲開始、31企業が決定する
平成6年5月
第2次分譲開始、6企業が決定する
平成6年8月
第1次土地引渡し27社
平成6年10月
第2次土地引渡し10社

『嵐山町報道』438号 1994年(平成6)12月1日
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