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第6巻【近世・近代・現代編】- 第2章:政治・行政

第2節:昭和(町制施行前)

菅谷村

論壇

村議会議員の改選に際して

 町村合併後初の村議会議員の選挙も去る十月九日の日曜日に極めて平穏に行なはれ、即日開票の結果、議員二十二名の決定を見たことは村政のため、誠に喜びに堪えない次第である。
 此の誉ある当選は、決して偶然ではなく、常日頃の愛村の熱意並に人徳とが村民の支持となって現はれたもので、其の御努力に対して敬意を表すると共に、衷心から御喜び申上ぐる次第である。
 本村も本年四月十五日合併以来僅かに六ヶ月を経たに過ぎないが、合併も極めて円滑に行はれ、その後の村政運営も何等の問題もなく、着々として新村の基礎も強化しつつあることは、旧両村の議員各位が過去の行きがかりを清算し、互譲の精神を以てお互の立場を尊重し、只新村育成のため協力を吝(おし)まなかった結果であって、其の御努力に対しては村民は深く感謝致さなければならない。
 合併当時の議員各位はあらゆる障害を克服し、合併と云ふ歴史的大事業を立派に達成し、合併後も新村発足に伴ひ重要問題が山積して居ったにも拘(かかわ)らず、常に大局的見地に立って公平適切に処理した結果、兎角支障の起り易い新村の村政も極めて円滑に運営され、合併後僅かに六ヶ月を経過した今日已(すで)に新村の基礎も確立し、重要な仕事も次ぎ次ぎと実施されつつあることは、旧議員の御功績であって、其の御苦労は村政史上に永久に輝くことであらう。今回の改選に際して苦労を共にし、常々御支援御指導を賜はった過半数の議員が勇退され、議会でお会ひすることが出来なくなったことは誠に心淋しく惜別の情に堪えないものがある。何卒今後は自由な立場にあって、今迄の経験を生かし、側面的に村政のため御指導と御鞭撻を切望致すと共に、益々御多幸をお祈りして御礼にかへる次第である。
 今回選ばれた二十二名の新議員は、中十名は引続き議席を得た方で、所謂二年生或は三年生議員で他の十二名の議員は前村長或は前議員、教育委員、其他重要な役職の経験を持った村政に対してはベテラン揃いで、今後の活躍は期して待つべきものがあり、従って村民も新議員に期待する処、極めて大きなものがあると思ふ。
 前議員の御努力により、大体の基礎は確立したとは云ふものの、真に新村の育成強化は今後にあり、其の成否は新議員の双肩にあると云っても過言ではないと思ふ。
 幸い、新議員は前述の通り村政に対してはベテラン揃いであるので、必ず村民の期待に反しない立派な村づくりに成功するものと確信する。
 何れにしても新村発足早々で、村政面に於ても重要問題山積し、新議員の活躍に期待が大きいと共に、社会状勢も内政外交を通じて決して楽観を許さない重大局面に、議員として重大責任を負はれた各位に対し、深甚な敬意を表すると共に、今後の御奮闘を切望する次第である。
 吾々執行機関に席を置くものとしても、村民の心を心とし常に議会と緊密なる連絡協調につとめ、真に車の両輪の如く円滑な村政の運営に最善をつくし、以て明るく、平和で豊かな村づくりに専念する覚悟であるから、議員各位に於ても一層の御指導御鞭撻を御願して、新旧議員各位に対する御挨拶とする。
(菅谷村長高崎達蔵)

『菅谷村報道』63号「論壇」1955年(昭和30)10月20日
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