第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
『わたくしたちの村 すがや』昭和40年(1965)
四、人びとのくらしとしごと
(1)村の人びとのしごと
・わたしたちの組の人の家のしごとをしらべて、表をつくりましょう。いろいろなしごとがあることが、わかります。菅谷村ぜんたいの、人びとのしごとのうちでは、のうぎょうする人が一番多いのです。しごとはちがっても、おたがいに、かんけいをもってくらしています。
・近くの村や、町のようすはどんなようすでしょうか。しらべてみましょう。
・しごとがちがう人びとは、おたがいに、どんなかんけいをもってくらしているでしょうか、みんなで、話しあってみましょう。(2)のうかのしごととくらし
春になると、なわしろにもみたねをまいて、いねの苗をそだてます。ずい虫をとったり消毒したりして、よい苗にします。苗が大きくなり、六月の中旬ごろから田うえが、はじまり、このころは「つゆ」といって雨がよくふります。また麦をかったりするので、のうかは、たいへんいそがしい時です。夏から秋にかけて、じょそう、消毒、水かけ、はい水のしごとをします。台風のこともしんぱいします。秋はとり入れや麦まきのしごとでいそがしくなります。米を作るのは水田が多く畑でもします。このごろでは、しごとのつごうや、たくさんとることを考えて、早く苗をそだてて田うえを早くすることも多くなっています。とれた米はのうきょうへしゅっかします。早くしゅっかすると、しょうれい金がついて、少し高くうれます。
昔は、米、麦を作るのが、のうかのおもなしごとでしたが、このごろでは、きかいが、たくさんつかわれて早くしごとができるようになったので、米、麦のほかにも、いろいろなしごとがたくさんできるようになりました。ようさんのしごとがさかんになり、そのほか、やさいをたくさん作ること、くだものや、しいたけ作りなどもふえてきました。まだほかに、ぶたやにわとり、乳牛などもかっています。
のうかでは、一つのしごとだけでなく、いろいろなしごとをしてくらしを、たすけています。また、しごとのひまな時は、こうばなどにつとめに出たり、そのほかのしごとをしたりしています。のうぎょうのほかのしごとをするのうかがだんだんふえています。のうかでは、庭が広く家の中も広くて、のうぎょうするには大へん便利ですが、くらしには不便なことがたくさんありました。しかしこのごろでは、いろいろとくふうして、台所や、ふろばを作りかえたり、水道ができたり、有線電話なども入り、たいへん便利になってきました。
・わたしたちの家のしごとのこよみを作って、いそがしい時を考えて話しあいましょう。
・わたしたちの村では、こううんき、だっこくき、モーターや、そのほかの、のうぎょうきかいが、どのくらいつかわれ、やくだっているかしらべて、みんなで話しあってみましょう。(3)のうかのくろうとたのしみ
1 のうかのくろう
ある日、おじいさんに、つぎのような、話をききました。のうかのしごとは、きかいるいが、はったつしていなかったころは、田や畑に、ひりょうをはこんだり、とれた作物などを、家に、はこんだりするのに、しょったり、かついだりしましたので、時間がかかり、ほねがおれたので、たいへんな、くろうだったということです。又田に水をひくのに、わたしたちのきょうどには(きゅうななさとむら)大きな川がないので、たくさんのためいけ(ぬま)を、むかしの人が、つくってくれました。
そのぬまを、まいねんのように、ぬまぶしんといって、ぬまのていれをしなければなりませんし、田や畑は、雨がふると、すぐ、水びたしになるところが多いので、はい水ろを、つくらなければならないので、たいへんなくろうが、あるのだとおっしゃいました。2 のうかのたのしみ
のう村には、おまつりや、たのしいぎょうじがあります。わたしたちの村のことを、しらべてみましょう。
つぎに、いくつかあげてみました。のうかのたのしみ
一月
おしょうがつ あたらしい年の、せいかつのぶじと、ほうさくをいのる
くわいれ のうかのしごとを、はじめてする、おいわいの日。
二月
はつうま ほうねんを、いのるおまつりで、くわの木などに、まゆがたをしたおだんごを、つけてそなえる日。
三月
ひがん おせんぞさまの、おはかまいりや、ぶつじをおこない、のうかでは、ぼたもちをつくり、そなえる。
四月
ひなまつり 女の子のおいわいで、くさもちをつく。
五月
たんごのせっく 男の子のおいわいで、かしわもちをつくる。
六月
さなぶり 田うえが、おわったときに、さなえを、かみだなにそなえほうねんをいのる。
七月
のあがり 田うえや、麦かりがおわり、のうかが、しごとをやすんで、ごちそうをつくってたべる。
八月
おぼん そせんのおまつり、おはぎなどのごちそうをそなえる。ところによっては、ぼんおどりをします。
たなばた ほしまつりといって、しきしに、ねがいごとをかいて、竹につるす。まんじゅうをつくる。
九月
おひがん おはかまいりや、ほとけさまの、くようをする。おはぎをつくってそなえる。
十月
おひまち 秋のほうねんまつりで、おもちをつく。
十一月
とうかんや おはぎをつくる。こどもたちは、わらでっぽうをつくって、家をまわる。・このほかとちによって、まだたくさんあるとおもいますので、お家の人にきいてしらべてください。
(4)のうぎょうきょうどうくみあい
のうぎょうきょうどうくみあいは、のうかの人たちが、しごとや、くらしを、よくするために、つくったくみあいです。
つぎに、のうぎょうきょうどうくみあいの、しごとを、ひょうにしてみました。(5)つとめにかよう人びと
わたしたちのすんでいる農村で、どのような人がつとめにかよっているかしらべてみましょう。 「村の人びとのしごと」のところでべんきょうしたように、菅谷村の半分いじょうが農家です。とくに七郷地区は十分の九が農家で、農業をやっていない家は大へんすくないのです。
しかし、村にある工場や役場、遠くは東京までつとめにいく人がたくさんいます。
次のグラフを見ましょう。このグラフでわかるように
・農家といっても農業をやっているのは、おかあさんをちゅうしんに、おじいさん、おばあさんで、おとうさんのおおくはつとめにでています。
・冬のひまな時は、おかあさんまでつとめにでています。
・にいさん、ねえさんのだいぶぶんはつとめにでています。また、次のグラフにあるように、つとめるところもいろいろあります。
おとうさんやおかあさん、それからおとしよりからむかしの人のしごとについて、いろいろはなしをきいてみましょう。
(6)みせではたらく人びと
菅谷村のおみせは、えきのちかくにおおく、えきにとおいところはたいへんすくないのです。
えきのちかくのおみせは、ぶんぼうぐや、にくや、かしや、花や、ようひんてんというように、みちのりょうがわにならび、そこではたらく人もたくさんいます。ごごから夕がたにかけてかいものの人でにぎやかです。しかし、七郷地区やえきにとおく農家のおおいところでは、みせはところどころにしかありません。そして一つのみせで、ぶんぼうぐ、おかし、にちようひんなどなんでもうっています。よろずやといいます。
菅谷村立七郷小学校『わたくしたちの村 すがや』(1965年)
わたしたちのすんでいる七郷地区ではどんなところにみせがあるか、地図をつくってしらべてみましょう。