第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
第二編 郷土研究
第七章 七郷村に於ける教化
第五節 娯楽機関
觀察要項
芝居、寄席等の娯楽機関は、吾々が日々營々として物質的活動のために身心の疲勞をなす時に一種の慰安となる自然的必要から生じた物でありますのであるから一般に有害とのみ云ふ事は出来ぬ。悪い部分に對しては反感を懐くことなしに善い部分のみを善用利導しなければならぬ。
1 我が村に於ける娯楽機関の觀察
常設の芝居や寄席はないが、神社の祭典等には毎年芝居がある。亦、文殊寺【現・熊谷市野原の文珠寺】の開帳などには寄席などもある。これらに対しの児童の心得即ち善用して教化の手段となすべくすること。児童によい部分を取るだけの鑑識力を養成することが必要であります。2 俳句和歌
平民的文学として害なくして益のあるものである。現今俳句が青年間及び老年に至るまで盛んに行なはれてゐるから賀すべきことである。3 将棋、碁、などの遊びも多少はあるがこれはあまり盛んになるやうでないが一部には常に行なはるるから全然すたってしまうと云ふ事はあるまい。
4 青年の娯楽、老年の娯楽、壮年の娯楽としても読書に及ぶものはなからう。これを奨励するは、読書の趣味を持たしむるより外に方法はあるまい。休日、祝日などには學校などへ来て遊ぶやうになれば自然この趣味も涵養さるるであらう。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校蔵)