第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
第二編 郷土研究
第五章 七郷村の觀察
第七節 七郷村に於ける人類團體
觀察要項
人間一人といふものは實に微力のものである。武器を持たなかったら一疋に一人はかなふまい。然るに人間が獣類を征伏して之れを其の配下に使役し或は之れを退治するのは一體何の力といったならば云ふ迄もない。人類團體の力である。
1 家族なる團體 家庭の觀察に於て之れを述ぶ。
2 學校なる團體 村も郡もまた團體である。
3 村に於ける青年の團體
4 村に於ける其の他の團體 貯蓄組合とか信用組合とか、伊勢講とか勞働組合とかいふもの。
5 團體は恰も生物と同じ様な形をなして存在してゐること。七郷尋常高等小學校 沿革を略す。
校地 高さ 八十四米
校地坪数 一六八六坪
建坪数
種別 員數 坪數 時價
通常教室 八 一四二・五 四五七五円
特別教室 一 四・〇 一三〇円
職員室 一 一〇・五 三三五円
宿直室 一 三・〇 九〇円
小使室 一 九・〇 五〇円
其の他 一一二・七五 三三八二円五〇銭
児童及職員數 大正二年(1913)三月末
児童數 四四六人
職員 十名
小使 一人
児童の貯金
年次 貯金せるもの 金額
明治四十二年(1909) 七五人 一三七円八二銭
仝四十三年(1910) 九八人 一七五円四二銭
仝四十四年(1911) 九二人 一九八円五〇銭七郷實業補習學校 小学校附設 二年(1913)三月現在
生徒數 男 二八人
女 六二人
計 九〇人校友會 七郷学校長卒業生を以て組織す。
會員數 六三人(大正二年三月末日にて)七郷青年會
會員數 一三一人古里戊申青年會
會員數 二十五人
施設經營宜しきを以て、郡教育會より表彰せらる。
貯金高 四五円五一七(四五年一月現在)青年励農會學習部
會員數 六十七人
施設經營宜しきを以て郡教育會より表彰せらる。
貯金高 七二円一九〇(四五年一月現在)吉田夜業組合*1
貯金高 二六四円五六一 明治四十五年(1912)一月調査帝国在郷軍人會七郷村分會
會員數 二四九人七郷青年會支部就實會
會員數 四五人
貯金高 二〇円七五〇(四五年一月現在)七郷衛生組合
會員 村一般七郷村農會
會員 村一般青年勵農會*1
貯金高 三一一円五八五 四五年(1912)一月現在
古里夜業貯蓄組合*1
〃 三二八円〇〇〇
古里農事結會合*1
〃
七郷労働組合*1
〃 一五〇円二五〇
古里労働組合*1
〃 六七九円三〇九
勝田労働組合*1
〃 一〇〇円五〇〇
吉田労働組合*1
〃 四四四円九〇〇吾が七郷村には上の様な團體がある。その内で學校や、農會や衛生組合などは強制的のもので其の他のものは任意的の團體である。この他に今信用組合なる者が出来んとして定款を提出中であります。*2
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校蔵)
*1:『明治四十二年七郷村統計一覧表』では、「共働組合」として次の5団体が記入されている。
大字越畑青年励農会 1904年11月5日創立 40人
大字古里農事結合会 1905年10月23日 14人
大字古里労働組合 1905年3月20日 47人
大字吉田労働組合 1905年2月20日 52人
大字吉田夜業組合 1904年11月20日 25人
*2:七郷信用組合の設立申請は1913年(大正2)3月28日、認可が同年11月22日であること(第3章:産業・観光 - 第5節:商工業「 市川藤三郎と産業組合」を参照)、1913年10月10日に島田工場(精米・精麦・製粉)が創立されているが『郷土研究』には言及されていないことからも、『郷土研究』の編さんは1913年(大正2)であると推察する。