第6巻【近世・近代・現代編】- 第1章:地誌
第二編 郷土研究
第五章 七郷村の觀察
第四節 農業の觀察 附工業の觀察
觀察要項
わが七郷村の農業村たる純然たる農業本位の村たるは茲に述ぶる要を認めぬ。吾々の日常食する物は何人が作るか其れを何と云ふか如何にして作るかと云ふな問いによって農業の観念を與ふることが出来やう。
1 農業の種類
イ 穀物を作る農業者、ロ 野菜を作る農業者、ハ 其の他の特有作物を作る農業者、わが土地の農業に従事して居るものは、先づ(イ)に属するもので其の他も少しづつなしてゐる。まだ分業的になってゐぬ。2 耕地 耕地總反別及一戸、一人當反別。開墾の餘地の有無。
七郷村の耕地反別 四三年(1910)一二月末日調
田 二百四十七町十六歩
畑 二百三十三町一反三畝三歩
計 四百八十町一反四畝〇九歩
戸口當は前節に述べたれば略す。
山は之を開墾して桑園、果樹となすべきもの甚だ多きも水田に変ずべき畑は殆どなし。耕地の利用は水田は一年に二回利用されつつあるは其の二分の一に及ばず。3 農民 村の總人口三千三百二十五人中三千二百八十人は農業に従事してゐる。男は重に田・畑を耕し山林に薪炭を採り、女は主として家にありて養蚕、製糸等の副業に従ふてゐる。これらの仕事は一年間平均にいっては居らぬが、仕事なしで暮してしまうやうな不平均ではない。
4 農産物、米の収穫高、品質、及輸出か輸入か、収穫高に相違のあるは何故か、等を調査させる。
其他の産についても同様に觀察させる。七郷村の四十四年(1911)に於ける農産物は次の如くである。
農産物作付反別・収穫高・価格
作付反別 収穫高 価格 米
粳米
糯米
陸米
計町 反 畝 歩
二二二、
二五、
二、
二四九、石
三九九六
四〇〇
二四
四四二〇円
五九、九四〇
五、六〇〇
三三六
六五、八七六麦 大麦 田
畑
小麦 田
畑
裸麦 田
畑
計一、
九〇、
四〇、
五二
———
一五、
一九八、一二
一八〇〇
四八〇
六二四
二二五
三一四一一二、六〇〇
九、三五〇
一、五七五
二三、五二五食用特用農産物 大豆
小豆
豌豆
蠶豆
栗
蕎麦
玉蜀黍
甘薯
馬鈴薯
青芋
蘿蔔
蕪菁
胡蘿蔔
葱
牛蒡
胡瓜
茄
實綿一一五、二
五二、七
、七
、三
三、三
一〇、〇
三、〇
一五、
五、
八、
一、八
、七
、五
、八
一、
一、五
一、六
二、一二五二
四七二
一〇
三
二六
六〇
六
三七五〇〇
一七五〇〇
一九二〇〇
九四〇〇〇
一〇五〇
三六〇〇
四〇〇〇
一八〇〇
二〇〇〇
一〇〇〇
八〇一二、六五二
六、一四六
一〇〇
二七
二九八
三六〇
三六〇
二六七
八七
一九二
五五二
一一一
四三二
一六〇
二一六
一四〇
二〇〇
四〇
計二二、七〇〇
梅
桃
梨
柿(生)
葡萄
栗
蜜柑本
二五〇〇
二〇〇〇
一〇〇〇
一〇〇〇
六〇〇
五〇〇
三〇〇
一〇〇〇〇
二〇〇〇〇
五〇〇〇
三五〇〇〇
二〇〇
二五〇〇
一〇〇
一六〇
五〇〇
三〇〇
七五
二八
計一、一六三米:粳米、糯米、陸米
麦:大麦(田、畑)、小麦(田、畑)、裸麦(田、畑)
食用特用農産物:大豆、小豆、豌豆、蠶豆、栗、蕎麦、玉蜀黍、甘薯、馬鈴薯、青芋、蘿蔔、蕪菁、胡蘿蔔、葱、牛蒡、胡瓜、茄、實綿
果実:梅、桃、梨、柿(生)、葡萄、栗、蜜柑5 田畑其他の土地を合せ一人の所有反別 四三年(1910)一二月末日現在
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校蔵)
五反未満ノモノ 三七五人
五反以上一町未満ノモノ 一五五人
一町以上二町以下ノモノ 八五人
二町以上五町未満ノモノ 五六人
五町以上十町未満ノモノ 一四人
十町以上二十町未満ノモノ 七人
二十町以上五十町未満ノモノ 一人
五十町以上ノモノ
計 六九三人