嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第4章:河川・池沼と田んぼに見られる主な動物たち
第1節:川の中の動物
2.小さい河川にすむ動物たち
橋の上からのぞき込むと、市野川では雑魚に混じりギバチなどが泳いでいる姿を見かけます。時にはモクズガニが見つかることも。
河川の位置図
七郷地域では、都幾川のように広い河原を持つ河川は見られず、かわりに市野川や粕川、滑川といった細い河川が流れています。こうした場所には特有の生きものが多く見られ、同じ河川でもだいぶ種類が違うようです。将軍沢地区などを流れる前川では、ヤリタナゴをはじめとする貴重な動物たちが見られます。以前は越畑、古里地区などにミヤコタナゴが生息していたと言う話も聞きましたが、残念ながら現在では見ることが出来ません。
タナゴ釣りは本来、ヤリタナゴが対象魚でした。しかし水質汚染や用水路の護岸化により産卵するヨコハマシジラガイなどの二枚貝が減少し、現在ヤリタナゴが生息できる場所は限られています。
前川は県内でも数少ない、昔ながらの環境が保たれている河川です。少ないながら、ヨコハマシジラガイやヤリタナゴなどが見られ、貴重な生息地として知られています。
カワムツは、滋賀県琵琶湖産アユの河川放流に混じり本県に入ってきた魚です。容姿はオイカワに似ていますが、オスの婚姻色はより赤味を帯びています。また、オイカワよりも流れが緩やかな場所を好みます。
オオタニシは水のきれいな場所に見られ、県内では珍しい種類です。嵐山町では将軍沢地区の河川から見つかっています。また河川のほかに、池沼にも見られます。
細い河川では、エビや貝類などもめだちます。市野川ではモクズガニやテナガエビ、ギバチなどめずらしい生きものが確認されています。
俗に言う「シジミ貝」とは、嵐山町ではマシジミのことを指しますが、昔はよくこれを採って食用にしたようです。また、細い河川では「掻い掘り」と言って、川をせきとめて水を抜き、いろいろな生きものを一網打尽にする漁法が昔はよくおこなわれていたようです。
甲らの大きさが6センチメートルにもなるモクズガニは、ハサミに柔らかい毛が密生していることから「毛ガニ、川ガニ」と呼ばれ食用にもなります。一生を淡水で過ごすサワガニと違い、親になると産卵のため海に下ります。