嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第3章:草むらの主な動物たち
第2節:畑で見られる動物
コラムCOLUMN
ピンクのバッタ?
古里地区のかたが田んぼで見つけたピンクのクビキリギス
「ピンクのバッタが採れたのだけど・・・」という話を聞き、その場所である古里地区へとたずねていったのは1998年10月のことです。全身鮮やかなピンク色のこのバッタはキリギリスの仲間の「クビキリギス」でした。嵐山町ではごくふつうに見られる種で、色彩以外はどこも変わったところは見当たりません。数日後、死んでしまったというので譲り受けましたが、その色彩は色あせ、ベージュ色へと変わっていました。
クビキリギスには、同じ種類でもからだの色にいくつかのタイプがあります。クビキリギスの色のタイプは、緑色型と褐色型に大きく分けられます。そしてこれらの現れる割合は、雌雄で異なります。オスは両方の型がだいたい同じような割合で現れますが、メスの場合は緑色型が圧倒的に多くて、褐色型はとても少ないです。褐色型のメスは嵐山町ではまだ見つかっておらず、埼玉県全体でもわずか数匹しか見つかっていません。そしてこれとは別に、ピンクや紫色の個体がごく稀に現れることがあります。古里地区で見つかったのも、そうしたものなのです。
クビキリギス以外のキリギリス類やバッタ類にも、同じ種のなかに緑色型と褐色型が現れるものが少なくありません。キリギリスの仲間では、セスジツユムシ、クツワムシ、ヒメギス、キリギリスなどで緑色型と褐色型が現れます。バッタの仲間では、オンブバッタ、ショウリョウバッタ、トノサマバッタ、クルマバッタなど多くの種類でこれら2つのタイプの色彩が現れます。