嵐山町web博物誌・第1巻「嵐山町の動物」
第1章:嵐山町の動物たち
第3節:種の多様性
コラムCOLUMN
動物を分類する
人間の持つ、身のまわりの生きものに関する知識が増えるにつれ、個々の生きものに名前をつけたり、何かを基準にして他と区別したり、似たものを集めてグループを作るなどして整理すること(分類すること)が必要になってきました。そして、この分類のシステムについては昔からいろいろなものが提唱されましたが、現在世界中で使用されているのは「リンネ式階層分類体系」による分類と、それに基づく「2名法」と呼ばれる名前のつけ方です。これらは18世紀半ばに“分類学の父”と呼ばれるスウェーデンのリンネ(Linnaeus)により確立されたものです。
生きものに関する一つの種類の名前は、おおまかに言って、次の3通りがあります。第1は「学名」で、これは2名法に従ってラテン語で書く、世界共通の名前です。第2は「和名」と言って、日本における標準の名前で、これらの他に第3の呼び名として、ある特定の地方だけで使われている様々な地方名(方言)があります。
生物学で言うところの「種」とは、同じ形質を持つ集団で、ほかの集団と生殖的に隔離されたものを指し示します。分類学では、この自然の集団に近い形で、それぞれの集団に「種名(学名)」を与え、論文として発表していきます。これを「記載」とか「新種記載」と言います。
リンネ式階層分類体系
いろいろな種の中から似たような特徴を持つ種を集めて、ひとまとめにした小さなグループを「属」と言います。こうして出来たたくさんの属の中から、さらに似たような特徴を持つ属を集めて、より大きなグループの「科」を作ります。こうしたことを繰り返して、順次大きなグループ分けにし、最後は「動物界」というひとつのグループにまとめます。
各分類段階の階級は上から順に「界・門・綱・目・科・属・種」と呼ばれ、これらは上下関係をもっています。アマガエルで例えると、次のように表されます。
界 動物界 Animalia
門 脊椎動物門 Vertebrata
綱 両生綱 Amphibia
目 カエル目 Salientia
科 アマガエル科 Hylidae
属 アマガエル属 Hyla
種 アマガエル japonica
2名法
2名法では、この階級のうち「属」と「種」といった2つの名称により生きものの学名を表します。学名はラテン語を使用し、イタリック体により表示されます。また学名の後には、命名者の名前(名字)と記載年を記すこともあります。
和名 | アマガエル | |||
---|---|---|---|---|
学名 | Hyla | japonica | Günther, | 1858 |
属名 | 種小名 | 命名者名 | 記載年 |
新種の記載にあたっては、その種を代表する唯一の標本を指定します。これを「ホロタイプ(完模式標本)」といい、ホロタイプは名前のついた生物すべてに存在します。これらの決まりごとは、動物類では国際生物科学連合により出版された「国際動物命名規約」に記されています。